Genmai雑記帳

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最高裁:親子関係不存在確認請求と権利濫用1

平成17(受)1708 親子関係不存在確認請求事件
平成18年07月07日 最二小判
判示事項抜き書き

〜実親子関係について不存在確認請求をすることが権利の濫用に当たらないとした〜判断に違法があるとされた事例

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

(1) 被上告人〜と亡A〜は〜婚姻〜。同年〜被上告人とAの〜の間に長男Bが出生〜。
(2) 〜実子ではなく〜虚偽の届出〜。〜A夫婦の〜子として養育され〜Aが経営していたそば店を手伝うようになった。
(3) Aは,昭和51年〜死亡〜。上告人は〜約3分の1相当を取得したものとされた。
(4) 被上告人は,平成6年ころ〜実親子関係不存在確認を求める調停を申し立て〜後でこれを取り下〜。
(5) 被上告人は,平成16年4月ころ〜再度〜調停を申し立て〜不成立〜

原審

〜身分関係存否確認訴訟は〜関係者間に紛争がある場合に対世的効力を有する判決をもって画一的確定を図り〜戸籍の記載の正確性を確保する機能を有する。〜長年にわたり親子と同様の生活の実体があったこと,〜Aの死亡後も長期間にわたり〜訴訟を提起しなかったことなどを考慮しても〜権利の濫用〜とはいえない。仮に〜相続を有利にしようとする〜ものであるとしても,上記判断を左右しない。

最高裁

〜実親子関係不存在確認訴訟は〜存否について関係者間に紛争がある場合に対世的効力を有する判決をもって画一的確定を図り,これにより実親子関係を公証する戸籍の記載の正確性を確保する機能を有するもの〜,〜戸籍の記載が異なる場合には,実親子関係が存在しないことの確認を求めることができるのが原則〜。
〜しかし〜例外を認めないものではない〜

〜また,虚偽の〜届出〜について乙には何ら帰責事由がない〜届出を自ら行い〜容認した甲が〜極めて長期間が経過した後に〜主張することは〜公平に著しく反する〜。

〜甲が〜子である乙との〜親子関係の存在しないことの確認を求めている場合〜,
〜実の親子と同様の生活の実体があった期間の長さ,
〜判決をもって〜確定することにより乙及びその関係者の受ける精神的苦痛,経済的不利益,
〜甲が実親子関係の不存在確認請求をするに至った経緯及び〜動機,目的,
〜確定されないとした場合に甲以外に著しい不利益を受ける者の有無等〜
〜諸般の事情を考慮し〜不存在を確定〜が著しく不当な結果をもたらす〜とき〜権利の濫用〜というべき〜。

(1)〜平成6年に〜調停を申し立てるまでの約51年間〜実の親子と同様の生活の実体〜被上告人は〜調停申立てまでの間〜実子であることを否定したことはなかった。
(2) 判決をもって〜不存在が確定されるならば〜精神的苦痛は,軽視し得ない〜被上告人は,Aの遺産の相当部分を相続〜被上告人の相続が発生した場合〜上告人が受ける経済的不利益も軽視し得ない〜
(3) 〜第1回目の調停申立てをした動機,目的は明らかでない〜。〜約10年が経過して再度調停を申し立て〜更に〜本件訴訟を提起〜実親子関係を否定しなければならないような合理的な事情があることはうかがわれない。

〜長期間にわたり実親子と同様の生活〜重視せず,〜精神的苦痛,経済的不利益,被上告人が〜否定する〜動機,目的等を十分検討することなく〜権利の濫用に当たらないとした原審〜違反がある。〜差し戻す〜。