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最高裁:調停調書の登記原因記載

平成20(行ヒ)29 登記申請却下処分取消請求事件
平成20年12月11日 最一小判
判示事項抜き書き

 遺産分割調停調書に,〜代償としてその所有する建物を他の相続人に譲渡する旨の条項がある場合に〜調書を添付してされた〜登記申請につき〜原因証明情報の提供を欠く〜を理由に却下した処分が違法とされた事例

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(抽出・加工あり。原文参照)

(1) 〜遺産分割調停が成立〜。
〜調書には,上告人が〜遺産〜土地を取得した代償として,他の相続人〜に対し〜上告人所有の建物〜を〜譲渡する旨の条項〜。〜譲渡は〜代償金支払義務があることを前提として〜支払に代えて行われるものとはされておらず,また〜譲渡に関し〜譲受相続人から〜反対給付が行われるものとはされていない。
(2)〜「〜遺産分割による代償譲渡」とし〜登記の申請〜。
(3)〜調書には登記の原因となる事実又は法律行為〜の記載がなく〜原因証明情報の提供がない〜却下〜。

原審

〜本件条項には〜代償〜譲渡〜が記載されているものの,それがいかなる法律行為によるものであるかが特定明示されていない。〜譲渡が有償であるか無償であるか,有償であるとして,だれとの間でどのような対価関係に立つものであるか等が必ずしも明らかではなく,物権変動の原因となる法律行為の特定〜認められない。〜原因証明情報とはなり得ない〜

最高裁

〜本件条項〜は〜遺産〜土地を取得する代償として〜建物を〜譲渡することを内容〜,その譲渡は,代償金支払義務があることを前提としてその支払に代えて行われるものとはされておらず,また〜反対給付が行われるものとはされていない〜,上記の合意は,上告人が〜譲受相続人に対し,遺産取得の代償として〜建物を無償で譲渡することを内容とするもの〜ということができる。
〜登記の原因となる法律行為の特定に欠けるところがなく〜原因証明情報の提供を欠くことを理由に〜却下した〜処分は違法〜。

代償分割による調停条項,
1.代物弁済型の条項
  代償金支払義務があることを認め,その支払に代えて→「代物弁済」
2.代償物譲渡型の条項
  代償金支払義務を介在させずに,自己所有不動産を譲渡→「遺産分割による贈与」

昭40.12.17、民事甲第3,433号

 共同相続登記後、遺産分割の方法として金銭に代わり、相続人中の1人の固有不動産を他の相続人に与えることを含めてされた遺産分割協議書を添付してした、当該不動産の遺産分割による贈与登記の申請は受理してよい。〜。

 と言うことは、最初から「遺産分割による贈与」で申請すれば、どうだったのでしょうか???
 また、この場合、調書を原因証明情報とするなら、原因の記載についてはともかく、「登記すべし」とする給付条項がきちんと書いてあったとすれば単独申請でできたのではないのでしょうか?
 しかし、判決文によると、このケースでは共同申請だったようですので、それなら、何も最高裁まで争わなくても、別途、原因証明情報を作成すると言う方法もあったと思うのですが・・・?
(弁護士の先生による申請??)