Genmai雑記帳

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最高裁:取締役の責任の消滅時効

平成18(受)1074 損害賠償請求事件
平成20年01月28日 最二小判
裁判要旨抜き書き

 商法〜266条1項5号に基づく会社の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は〜10年〜

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(抽出・加工あり。原文参照)

 〜商法254条3項(民法644条),商法254条ノ3の〜債務不履行責任を負うことは当然〜(民法415条),
−違法配当や違法な利益供与等が会社ないし株主の同意の有無にかかわらず〜違反行為となること(商法266条1項1号,2号)からも明らかなように,
−〜業務執行を決定し〜執行に当たる立場にある取締役の会社に対する職務上の義務は,契約当事者の合意の内容のみによって定められるものではなく,契約当事者の意思にかかわらず,法令によってその内容が規定〜。
−商法266条は,このような観点から〜責任の明確化と厳格化を図る趣旨の規定〜1項5号〜損害賠償責任が,民法415条〜と異なり連帯責任とされているところにも現れている〜

これらのことから〜商法266条1項5号に基づく〜会社に対する損害賠償責任は〜法によって〜加重された特殊な責任〜。

〜また〜外部から容易に判明し難い場合が少なくない〜損害賠償責任については商事取引における迅速決済の要請は妥当しない〜。〜商法522条を適用ないし類推適用すべき根拠がない〜。

〜商法266条1項5号に基づく会社の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は,商法522条所定の5年ではなく,民法167条1項により10年〜

旧商法

第254条3項 会社ト取締役トノ間ノ関係ハ委任ニ関スル規定ニ従フ
第254条ノ3 取締役ハ法令及定款ノ定並ニ総会ノ決議ヲ遵守シ会社ノ為忠実ニ其ノ職務ヲ遂行スル義務ヲ負フ

第266条 左ノ場合〜取締役ハ会社ニ対シ連帯シテ〜弁済又ハ賠償ノ責ニ任ズ
 一 〜違反スル利益ノ配当〜議案〜提出〜違反スル金銭ノ分配〜
 二 〜違反シテ財産上ノ利益ヲ供与〜
 三 他ノ取締役ニ対シ金銭ノ貸付ヲ為シタルトキ
 四 (自己取引)ヲ為シタルトキ
 五  法令又ハ定款ニ違反スル行為ヲ為シタルトキ
(2以下省略)

第522条 商行為〜債権ハ〜5年間之ヲ行ハサルトキハ時効ニ因リテ消滅ス〜

民法

(受任者の注意義務)
第644四条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
債務不履行による損害賠償)
第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。