Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:物上保証人による弁済・破産開始時現存主義

(2010-03-19分の改記分)
平成20(受)1202 破産債権査定異議事件
平成22年03月16日 最三小判
裁判要旨抜き書き

 〜破産手続開始の決定後に,物上保証人が複数の被担保債権のうちの一部の債権につきその全額を弁済した場合〜,複数の被担保債権の全部が消滅していなくても〜弁済に係る当該債権については〜「その債権の全額が消滅した場合」に該当〜債権者は,破産手続においてその権利を行使することができない。

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(抽出・加工あり。原文参照)

〜同一の給付について複数の者が「各自全部の履行をする義務」を負う場合〜破産〜開始〜後に,他の全部義務者が〜弁済〜をすれば,実体法上は〜弁済等〜範囲で消滅〜。
−しかし,破産法104条1項及び2項は,複数の全部義務者を設けることが責任財産を集積して当該債権の目的である給付の実現をより確実にするという機能を有することにかんがみ〜全部義務者の破産〜開始〜後に,他の全部義務者が弁済等をした場合であっても,破産手続上は〜破産債権の全額が消滅しない限り〜開始の時における額で現存しているものとみて,債権者が〜権利を行使することができる旨(いわゆる開始時現存額主義)を定め,〜配当額を算定することとした〜。
−同条1項及び2項は〜当該破産債権について,破産債権額と実体法上の債権額とのかい離を認めるもの〜「その債権の全額」も,特に「破産債権者の有する総債権」などと規定されていない以上,弁済等に係る当該破産債権の全額を意味する〜

〜そうすると,債権者が複数の全部義務者に対して複数の債権を有し,全部義務者の破産〜開始〜後に,他の全部義務者が〜複数債権のうちの一部の債権につきその全額を弁済等した場合〜,弁済等に係る〜債権についてはその全額が消滅しているのであるから,複数債権の全部が消滅していなくても〜「その債権の全額が消滅した場合」に該当〜債権者は,当該破産債権については〜権利を行使〜できない〜。

そして〜104条5項は,物上保証人が〜弁済等をした場合に〜同条2項を準用〜その破産債権の額について,全部義務者の破産〜開始〜後に他の全部義務者が〜弁済等をした場合と同様の扱いをしている。

したがって,債務者の破産手続開始の決定後に,物上保証人が複数の被担保債権のうちの一部の債権につきその全額を弁済した場合には,複数の被担保債権の全部が消滅していなくても,上記の弁済に係る当該債権については〜「その債権の全額が消滅した場合」に該当し,債権者は,破産手続においてその権利を行使することができない〜。

 最高裁:特約に基づく、1年後の弁済充当指定 - g-note(Genmai雑記帳)と同一事件のようです。
3年前に、随分苦労して、一応は「開始時現存額主義」を理解したつもりでいたのですが、すっかり忘れてしまいました。
 改記しながら、あまり理解できておりません。(補足意見が解説のようになっていますので、また読んでみたいと思います。)
 あらためて、少しずつ理解することとします。
関連
破産法:開始時現存額主義 - g-note(Genmai雑記帳)
2010-07-13