最高裁:背信的悪意者・多年にわたる継続占有を認識
平成17(受)144 所有権確認請求本訴,所有権確認等請求反訴,土地所有権確認等請求事件
平成18年01月17日 最三小判
裁判要旨抜き書き
〜取得時効完成後に〜譲渡を受けて所有権移転登記を了した場合に〜譲渡を受けた時に,甲が多年にわたり当該不動産を占有している事実を認識しており,甲の登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情が存在するときは,乙は背信的悪意者に当たる。
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(抽出・加工あり。原文参照)
(1)〜時効完成前に〜譲り受けて〜登記を了した者に対しては〜対抗〜できるが,時効完成後に〜譲り受けて〜登記を了した者に対しては,特段の事情のない限り,これを対抗することができない〜
・昭和30年 (オ)15・同33年08月28日一小判
・昭和32年 (オ)344同35年07月27日一小判
・昭和34年 (オ)第779同36年07月20日一小判
・昭和38年 (オ)516同41年11月22日三小判
・昭和41年 (オ)629同42年07月21日二小判
・昭和47年 (オ)1188同48年10月05日二小判〜
〜時効の完成した後に〜買い受け〜登記を了したというのであるから〜特段の事情のない限り〜対抗〜できない。(2) 民法177条にいう第三者については,一般的にはその善意・悪意を問わない〜が,実体上物権変動があった事実を知る者において〜登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情がある場合には,登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有しない〜背信的悪意者〜
・昭和37年 (オ)第904同40年12月21日三小判
・昭和42年 (オ)564同43年08月02日二小判
・昭和43年 (オ)第294同年11月15日二小判
・昭和42年 (オ)353同44年01月16日一小判〜
甲が時効取得した不動産について〜時効完成後に乙が〜譲渡を受けて〜移転登記を了した場合において,乙が〜譲渡を受けた時点において,甲が多年にわたり〜占有している事実を認識〜,甲の登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情が存在〜,乙は背信的悪意者〜
(3)〜背信的悪意者〜購入時〜多年にわたり〜継続〜占有〜事実を認識していたことが必要〜。
〜原審は〜単に,〜購入時〜使用〜使用できないと公道へ出ることが困難となることを知っていた〜調査をすれば〜時効取得を容易に知り得たことをもって〜登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する第三者に当たらないとした〜更に審理〜差し戻す〜
しかし、判決文を読む限り、原審の判断の元となった事実からだけでも、多年にわたる継続占有の事実を知っていた(知り得べきであった)との主張はできたように思うのですが、それでも差し戻さなければならなかったのでしょうか?(主張の問題でしょうか?)浅学な私には良くわかりません。