Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:退職従業員の競業

(2010-04-02分の改記分)
平成21(受)1168 損害賠償請求事件
平成22年03月25日 最一小判
判示事項抜き書き

〜競業避止義務〜特約等〜なく退職した従業員において,別会社を事業主体として〜同種の事業を営み,その取引先から継続的に仕事を受注した行為〜

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

(1) 〜従業員10名程度〜退職後の競業避止義務に関する特約等〜ない。
(2) 〜5月〜6月〜に〜退職〜5日付けで〜代表取締役に就任〜登記〜は〜12月から翌年1月〜。
(3)〜退職のあいさつ〜受注を希望〜上告人会社の売上高の8割ないし9割程度を占めている。
(4)〜被上告人の売上高の3割程度を占めていたが〜5分の1程度に減少〜。

原審

(1) 元従業員等〜社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な態様で〜顧客を奪取したとみられるような場合には〜不法行為
(2) 〜就任等の登記手続を遅らせるなど〜気付かれないような隠ぺい工作等をしながら〜取引先を奪い,上告人会社の売上げのほぼすべてを〜得るようになる一方〜大きな損害を与えた〜社会通念上自由競争の範囲を逸脱〜共同不法行為〜。

最高裁

〜独立後の受注希望を伝える程度のことはしているものの〜営業担当であったことに基づく人的関係等を利用することを超えて〜営業秘密に係る情報を用いたり,被上告人の信用をおとしめたりするなどの不当な方法〜認められない。〜
〜3社との取引は退職から5か月ほど経過した後に始まったもの〜,退職直後から取引が始まったAについては〜被上告人が営業に消極的な面もあったもの〜自由な取引が〜〜阻害〜事情はうかがわれず〜退職直後に〜営業が弱体化した状況を殊更利用したともいい難い。
〜就任等の登記〜が遅くなったこと〜隠ぺい工作ということは困難〜競業行為〜元の勤務先に開示する義務を当然に〜はない〜被上告人側に告げなかったからといって〜違法と評価〜できない。〜

〜本件競業行為は,社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法なものということはできず〜不法行為に当たらない〜。〜信義則上の競業避止義務違反があるともいえない。

不当な方法を用いない限り、自由競争の範囲内である、と言うような結論でしょうか。
参考
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