Genmai雑記帳

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最高裁:消費者契約法4条2項の「重要事項」

(2010-04-06分の改記分)
平成20(受)909 損害賠償,立替金請求事件
平成22年03月30日 最三小判
裁判要旨

金の商品先物取引の委託契約において将来の金の価格は消費者契約法4条2項本文にいう「重要事項」に当たらない。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

〜外務員は〜金〜が上昇傾向〜年内は続く〜勧誘〜。
〈1〉〜消費者契約法4条1項2号にいう断定的判断を提供〜,
〈2〉〜高騰は異常〜ロコ・ロンドン市場〜の価格と極端にかい離〜将来における金の価格が暴落する可能性〜事実を告げなかった〜〜2項本文〜不利益となる事実を故意に告げなかった〜取消しを主張〜。

原審

〜4条2項本文〜取消し〜認容〜。
〜将来における金の価格は〜4条4項1号にいう「目的となるものの質」に当たり,かつ〜契約を締結〜の判断に通常影響を及ぼすべきもの〜2項本文にいう「重要事項」に当たる。
〜利益となる旨を告げる一方〜不利益〜事実である〜暴落〜可能性を示す〜事実を故意に告げず〜事実が存在しないと誤認し〜申込み〜取り消すことができる。

最高裁

〜4条2項本文にいう「重要事項」とは,同条4項において〜目的となるものの「質,用途その他の内容」又は「対価その他の取引条件」をいうものと定義〜同条1項2号では断定的判断の提供の対象となる事項につき「将来におけるその価額,将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項」と明示されているのとは異なり〜2項,4項では〜先物取引の〜将来における〜価格など〜変動が不確実な事項を含意するような文言は用いられていない。

〜将来における金の価格は「重要事項」に当たらない〜将来における〜暴落〜可能性を示す前記2(6)のような事実を告げなかったからといって,同条2項本文により〜取り消すことはできない〜

〜断定的判断の提供をしたということはできず〜4条1項2号に基づく取消し〜理由がない〜。

1項2号で、「重要事項」と別に明示してくくっているように、2項や4項の「重要事項」には、そのような場合は含まれない、と言うことと思われます。

消費者契約法第4条1項

  • 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、
  • 当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより
  • 当該各号に定める誤認をし、
  • それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、
  • これを取り消すことができる。
    1. 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
    2. 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認

2項

  • 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、
  • 当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について
  • 当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、
  • 当該事実が存在しないとの誤認をし、
  • それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、
  • これを取り消すことができる。
  • ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。

4項
第1項第1号及び第2項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。

  1. 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容
  2. 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件