Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:主たる債務の時効期間延長、保証協会の約款

昭和45(オ)622 求償金請求
昭和46年07月23日 最二小判
裁判要旨抜き書き加工

一、174条の2の規定によつて主〜債務の短期消滅時効期間が10年に延長されるときは〜保証人の債務の消滅時効期間も同じく10年に変ずる〜
二、〜保証協会の委託約款の解釈

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(抽出・加工あり。「上告人→協会」「被上告人→H」「信用金庫→金庫」と置き換え。原文参照)

〜D縫製〜が〜信用金庫〜から〜借り入れ〜、上告人〈保証協会〉が〜被上告人〈H〉と連帯して〜保証〜、
〜求償金債権につき、Hは、D縫製と連帯して協会に対し〜支払う〜約定〜
〜協会が〜求償金債権を取得〜
〜いずれも商行為〜五年の商事時効〜遅くとも昭和三五年一一月〜より進行〜
〜協会が、D縫製に対し〜訴を提起〜昭和三六年〜九月〜確定〜。

最高裁

〜訴の提起〜消滅時効は中断〜判決確定の日の翌日〜から、さらに一〇年〜
〜一七四条ノ二の規定によつて主〜債務の短期消滅時効期間が一〇年に延長〜連帯保証人の債務の消滅時効期間も同じく一〇年に変ずる〜(43(オ)519同年10月17日一小判決〜)

原審

〜「弁済した保証人の一人」に対する「他の共同保証人」の求償金債務は〜「主債務者の求償金債務についての保証債務」とは解しえない〜Hは金庫に対する関係では協会とともにD縫製の共同保証人〜特約〜認めることはできず〜D縫製の協会に対する求償金債務についての保証債務とは解しえず〜一〇年に変じない〜。

最高裁

〜信用保証委託約定書〜、〜約款〜
「連帯保証」とは、「協会が〜将来取得する求償権を担保するためのもの」と解するのが自然〜原判決の〜ように〜「連帯保証人」の字句は〜金庫との〜貸借について用いられ〜協会との間の求償関係について用いられたものではない〜首肯しがたい〜

〜第六条〜「被保証人〈D縫製〉は〜協会が将来取得する又は既に取得した求償権を担保するために〜被保証人所有の物件に担保権を設定〜連帯保証人の追加又は〜之に応ずる〜。」とあり、そのうち「将来取得する又は既に取得した求償権を担保するため」の「担保権の設定」「連帯保証人の追加」というのは、「D縫製に対する協会の求償権」を担保するための条項とみるほかなく、原判決のように〜「金庫に対するD縫製の主債務の支払」を担保するための連帯保証人の追加等を約したものとみるのは、「既に取得した求償権を担保するため」との文言に牴触〜到底〜是認するわけにはいかない。

〜第八条一項〜「被保証人の連帯保証人〈H〉は、協会が被保証人に対し将来取得することのある求償権及び第二条の定めるところにより生ずることのある協会の被保証人に対する一切の債権について、被保証人と連帯し、且つ、保証人相互の間に連帯して弁済の責に任ずる〜。」とあり、そのうち「第二条の〜一切の債権」というのは〜協会と〜D縫製との間にのみ生ずる求償権に付随する債権を指す〜、Hがこれにつき連帯して弁済の責に任ずるというのは、連帯保証債務を負つた趣旨〜。

〜第八条第三項〜「連帯保証人は自ら保証債務を履行しても協会に対し求償権を行使しないものとする。」とあり〜連帯保証人が自ら保証債務を履行して協会に対して求償権を取得する場合のあることを考慮した条項であるが、約款全体の趣旨からみると、被保証人の協会に対して負担する求償金債務につき連帯保証をした者が、金融機関に対する関係においても協会とともに共同保証人となる場合が十分に予想されるので、その場合に〜保証債務の履行をしても協会に対する求償権を行使しないことを約したものと解すべき〜

〜Hは、協会がD縫製に対して将来取得する求償権を担保するために連帯保証を約したもの〜。

主債務と保証債務の時効 - g-note(Genmai雑記帳)の中で引用されていたので読んでみたのですが、保証協会の約款についての解説も興味ある所です。