Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

賃借人による賃貸人の取得時効の援用

昭和42(オ)1398 家屋退去請求
昭和44年07月15日 最三小判
裁判要旨

建物賃借人は、建物賃貸人による敷地所有権の取得時効を援用することはできない。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

民法一四五条は、時効の援用権者は当事者である旨を規定している。
〜上告人らは、本件係争土地の所有権を時効取得すべき者またはその承継人から、右土地上に同人らが所有する本件建物を貸借しているにすぎない〜上告人らは、右土地の取得時効の完成によつて直接利益を受ける者ではないから、右土地の所有権の取得時効を援用することはできない。

民法

(時効の援用)
第百四十五条  時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

 ある書籍で、相続人は、被相続人の援用権(あるいは援用しうる地位)を相続するのか、それとも直接、145条の当事者として援用できるのか、と言うことについて、「明確ではない」としながらも、一般には、後者であろうとする説明の中で、本判例が引いてありましたので読んでみました。

 占有権の相続と援用権の相続の違いについて考え込んでしまっています。

★判例等:取得時効関係判例・記事(随時更新) - g-note(Genmai雑記帳)