Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:特例適用の指導・国賠法

(2010-04-27分の改記分)
平成20(受)2065 損害賠償請求事件
平成22年04月20日 最三小判
判示事項

 〜市への〜売却に係る長期譲渡所得につき〜特例〜適用がある旨の市の職員の誤った教示及び指導に従い所得税の申告〜過少申告加算税の賦課決定等を受けた場合〜損害の発生がないとした原審〜に違法〜あるとされた事例

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(抽出・加工あり。原文参照)

〜都計法〜事業予定地〜所有者から〜建築が許可されないときは〜著しい支障を来すこととなることを理由として〜土地を買い取るべき旨の申出があった場合〜時価で買い取る〜。〜長期譲渡所得については,特別控除額を5000万円〜とする〜特例の適用がある。

〜所有者が〜建築する意思を欠いている場合であっても〜
①〜仮の土地買取申出書を提出させる
②〜購入〜予算措置を講ずることができた時点で〜事業予定地に指定〜公告をした上,形式的に建築許可の申請をさせる,
③〜申請書には〜担当職員があらかじめ用意していた建築図面の中から〜面積等に応じて適宜選択したものを添付させる,
④〜名古屋市長〜建築不許可の決定をした後〜買取りの申出をさせる〜売買契約を締結〜を,長年にわたり組織的に行ってきた。

税務署長は〜特例の適用は認められないとして更正及び過少申告加算税の賦課決定〜所得税,過少申告加算税,延滞税及び地方税〜を納付〜。

原審

〜国賠法〜上違法であるが〜土地の売却との間に因果関係は認められない〜適正な税額を納付したのであり〜損害が発生〜とはいえない〜。

〜法的根拠もないまま,長年にわたり組織的かつ主導的に,都計法及び措置法の趣旨,目的に反する〜運用にのっとって〜買取りを進めていた〜特例の適用がある旨の教示をしただけでなく〜適用を受けられるように〜建築図面の交付までして〜都計法〜の買取りであるかのような形式を整えさせ〜申告を指導〜。

〜特例の適用がない〜税額を納付〜直ちに〜本税の額に相当する損害が発生したとはいえない
〜担当職員の〜教示や指導がなければ〜適用があることを前提として〜申告をすることはなかった〜安易に〜教示や指導に従った点で過失があることは否めないとしても,違法な公権力の行使〜により〜過少申告加算税相当額の損害が発生したことは明らか〜。延滞税の全部又は一部〜を〜損害とみる余地や〜他の特例の適用を検討する機会を逸したことにより損害が発生したとみる余地〜。

〜前記事実関係等の下において〜損害が発生〜いえないとして〜棄却〜した原審の判断〜明らかな法令の違反〜

・・税額全部でなくて残念でしたが、正しい税額の支払自体は損害でないとしても、これに関わる、その他の損害を認めたと言う意味では、ここらあたりが限界と思われ、高裁判決で終わらなくて良かったと思います。

国家賠償法(加工あり)
第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

第2条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。

第3条 前2条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、

  • 公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と
  • 公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者と

が異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。

第4条〜第6条省略

国家賠償法全文