Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:破産手続中、自由財産から任意の弁済

平成17(受)1344 不当利得返還請求事件
平成18年01月23日 最二小判
裁判要旨抜き書き

1 破産者は,破産手続中に自由財産の中から破産債権〜任意の弁済〜妨げられない。
2 地方公務員共済組合の組合員の破産手続中〜自由財産である退職手当の中から〜組合に対する貸付金債務についてされた弁済が〜任意の弁済であるというためには〜破産宣告後に,自由財産から破産債権に対する弁済を強制されるものではないことを認識しながら,その自由な判断により〜弁済した〜ということができることが必要〜。

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(抽出・加工あり。原文参照)

(5)〜給与支給機関であるE事務組合〜は,
〈1〉〜管財人に対し〜破産宣告時に退職したとすれば支給されたであろう退職手当〜円の4分の1〜を破産財団に〜交付〜,
〈2〉〜上告人に対し〜地共法〜115条2項に基づき〜退職手当〜の中から〜貸付金残金〜を控除して〜払い込み
〈3〉〜残りの退職手当を支給〜。

〜旧破産法〜破産財団を破産宣告時の財産に固定〜破産債権者は破産手続によらなければ〜破産債権を行使することができない〜と規定〜経済的更生と生活保障を図っている〜破産手続中〜自由財産に対して強制執行をすることなどはできない〜破産者がその自由な判断により自由財産の中から破産債権に対する任意の弁済をすることは妨げられない〜。

〜自由財産は本来〜経済的更生と生活保障〜破産者は〜強制されるものではない〜任意〜か否かは厳格に解すべき〜
〜地共法の弁済方法は〜給与支給機関が〜組合員の債務の弁済を代行するもの〜組合員が破産宣告を受けた場合に〜地共法115条2項により〜自由財産である退職手当の中から〜地共法の弁済方法で弁済を受け得る地位が組合に付与された〜と解することはできない(昭和62(オ)1083平成2年07月19日一小判)

組合員の破産手続中にその自由財産である退職手当の中から地共法の弁済方法により〜組合〜債務についてされた弁済が〜任意の弁済であるというためには,組合員が,破産宣告後に,自由財産から〜弁済を強制されるものではないことを認識〜自由な判断により,地共法の弁済方法をもって〜弁済〜ということができることが必要〜。

〜地共法の弁済方法により〜退職手当〜から〜弁済することにつき合意をしたことはなかった〜任意の弁済〜ということはできない。〜不当利得返還請求権を有する〜。

地方公務員等共済組合法(抽出・加工あり。原文参照)

(掛金等の給与からの控除等)
第百十五条
2 組合員〜の給与支給機関は、組合員が組合に対して支払うべき掛金以外の金額〜があるときは、給料その他の給与(〜退職手当〜を含む〜)を支給する際、組合員の給料〜からこれらの金額に相当する金額を控除して、これを組合員に代わつて組合に払い込まなければならない。