Genmai雑記帳

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最高裁:財産処分事項を欠く宗教法人規則

(2010-04-28分の改記分)
平成20(行ヒ)463 裁決取消請求事件
平成22年04月20日 最三小判
裁判要旨抜き書き

 宗教法人の規則は,財産の処分に関する〜規定が存在しない場合〜それだけでは宗教法人法12条1項8号に違反〜とはいえない。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

(1)〜Bとの被包括関係を廃止する〜規則の変更〜を決議〜。〜。
(2) 石川県知事は〜変更を認証〜。〜文部科学大臣は,Bほかからの各審査請求に基づき〜認証を取り消す裁決〜
〜理由〜「基本財産,宝物その他の財産の処分」に関する規定を欠き法〜に違反〜

原審

法の目的として,宗教団体が財産を所有しこれを維持運用することに資することが掲げられていることにかんがみると,法12条1項8号に規定する「基本財産,宝物その他の財産の設定,管理及び処分」に係る事項は,宗教法人の本質的事項にかかわる不可欠なもの〜,〜新規則は,財産の処分に関する明示的な規定を欠く違法な規則〜裁決に違法はない。

最高裁

 〜法〜によれば〜規則には,「基本財産,宝物その他の財産の設定,管理及び処分,予算,決算及び会計その他の財務に関する事項」を記載しなければならない。同号〜は,その文理に照らせば,「財務に関する事項」の例示〜,〜規則に記載するのが望ましいことはいうまでもないが〜必ず記載しなければならないとまではいえない。
 また,法23条によれば〜不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し又は担保に供しようとする場合において,規則に別段の定めがないときは〜責任役員の定数の過半数で決し〜かつ〜1か月前にその行為の要旨を公告しなければならないとされ〜違反〜行為は法24条〜無効〜。
 〜規定を持たない〜法人があったとしても,法23条及び24条の定める範囲で〜不当な処分が防止〜財産が保全されることとなる。
〜法は,財産の処分〜明示的な規定を持たない規則を有する宗教法人〜をも予定し(なお,法52条2項7号参照)〜保全を図っている〜

 宗教法人の規則は,財産の処分に関する事項を明示的に定めた規定が存在しない場合であっても,それだけでは法12条1項8号に違反するものとはいえない〜。

宗教法人法(抽出・加工あり。原文参照)

(設立の手続)
第十二条  宗教法人を設立しようとする者は、左に掲げる事項を記載した規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受けなければならない。
 八  基本財産、宝物その他の財産の設定、管理及び処分(〜)、予算、決算及び会計その他の財務に関する事項
(財産処分等の公告)
第二十三条  〜左に掲げる行為をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、〜少くとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し〜要旨を示してその旨を公告しなければならない。〜。
一 不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に供すること。〜

(行為の無効)
第二十四条 〜前条〜違反〜無効〜。但し、善意の相手方又は第三者に対しては、その無効をもつて対抗することができない。
(設立の登記)
第五十二条
2  設立の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
 七 規則で境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物に係る第二十三条第一号に掲げる行為に関する事項を定めた場合には、その事項

 行政官庁の許認可事務について、こう言う取扱いは、まずないと思われ、これについて町村先生が書いておられます。
町村先生のブログ