東京家裁の「家事事件手続法Q&A」を見ると、次のようなものがありました。
【問118】当事者になっていたが調停に関与する必要がなくなった人についてはどのような手続をとったらよいですか。
【問119】これまでの「脱退」はなくなるのですか。
【答118】〜「排除」と言う規定が新設されました。〜
【答119】そうです。
従来の遺産分割事件の実務においては,相続分を譲渡するなどして相続人の地位を失った場合には,脱退届を提出させて事実上当事者として扱わないということが行われてきました。しかし,今後,当事者の地位を失わせるためには,すべて排除の裁判が必要になります。
(手続からの排除)
第43条 家庭裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を家事審判の手続から排除することができる。
2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
複雑困難な相続登記事件の解決法として調停を考える場合、相続分譲渡や相続分の放棄をどう扱われるかは、重大な関係があります。
登記実務は、異順位者間の相続分譲渡後の遺産分割に遡及効を認めておりませんので、中間省略登記を行わないようにするためには、その部分については、順次登記していくしかなく、上記排除の裁判の内容によっては、調停後に別途、相続分譲渡等の書類徴求が必要になりかねないからです。
(☆この登記の扱いは変更されました。→これ)
今後の実務がどのようになるのか、注目する所です。