Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

占有の相続と登記の当事者

取得時効と相続の時系列を考えてみると、次の場合が考えられます。

A占有開始 A時効完成(期間経過) B相続 B援用
A占有開始 B相続 B時効完成(期間経過) B援用
A占有開始 A時効完成(期間経過) A援用 B相続

 加えて、登記名義人が、起算日より前に死亡している場合、また、起算日後、時効完成前や完成後に死亡し、相続登記を行っている場合もあります。
 これらを併せて考えると、なかなか混乱してしまうこともあるのですが、
要は、原則として、次のように考えて良いのではないでしょうか。(?)
1.起算日以前の名義の場合は、名義人の相続登記が必要。
2.その他については、登記義務者=登記名義人(又はその相続人)
3.登記権利者=援用者。(3の場合は相続登記必要か?)

梅垣先生の記事(感謝)
〜時効の起算点)前に開始した原所有者の相続〜相続登記を経由しなければならない(質疑登研455号〜。
〜起算点後に開始した相続〜相続登記を経由することなく、相続人による登記を申請することができる(質疑登研401号〜「義務者亡何某相続人何某」〜。

〜前主と〜通算して時効が完成する場合〜完成時点での占有者は依頼人であるから、依頼人が〜援用し〜登記権利者(登記名義人)となる。
〜他方、依頼人の前主(被相続人等)において時効が完成している場合〜依頼人において〜援用するにしても〜取得者は前主〜一旦、前主の名義に所有権移転登記を行う必要がある(ただし、時効援用をした依頼人に直接に所有権移転登記ができるという説もある
(1)時効取得訴訟のヒント-梅垣晃一司法書士

田舎の司法書士のブログ先生の記事(感謝)
〜時効完成時の所有者はAであったので、いったんA名義にしたうえでBに相続登記をする必要があるのではないかという疑問が生じる。しかし、最高裁平成13年7月10日判決の事案にも見られるように、直接B名義にすることを認めている。理由づけはよくわからないが、Bが自らの時効援用権を援用するのであって、Aの時効援用権を援用するのではないからであろうか。
また、時効完成時に甲はすでに死亡していたので、いったん乙、丙に相続登記をしなくてもよいのかという疑問も生じる。しかし時効の効力は起算日に遡るので、不要と思われる。
(2)時効取得と占有の承継-田舎の司法書士のブログ

西喜万先生の記事(感謝)
(内容)時効完成後の相続人が訴えを提起する場合に、時効完成時の占有者への移転登記を求めるように(その後、相続登記をするように)とする裁判所の指示が誤っていたとの記事。(法的な理由の記載はない。)
(3)必要なかった相続登記-西喜万司法書士(月報司法書士2011.2)

ま、とりあえず、私自身の登記申請においては、問題なく援用者への直接移転登記を認めてもらっております。
★判例等:取得時効関係判例・記事(随時更新) - g-note(Genmai雑記帳)