最高裁:差押債権との相殺

昭和36(オ)897 預金返還請求
昭和39年12月23日 最大判
裁判要旨抜き書き

1 甲が乙の丙に対する債権を差し押えた場合に〜丙が差押前に取得した乙に対する債権の弁済期が差押時より後〜、被差押債権の弁済期より前に到来する関係〜、丙は〜差押後の相殺〜甲に対抗〜できる〜逆〜は〜対抗〜できない〜。

2 〜将来差押を受ける等の一定の事由が発生した場合には、両債権の弁済期のいかんを問わず、直ちに相殺適状を生ずる旨の契約および予約完結の意思表示により相殺することができる旨の相殺予約は〜前項の場合にかぎつて〜有効〜。

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(抽出・加工あり。原文参照)

〜511条は「支払ノ差止ヲ受ケタル第三債務者ハ其後ニ取得シタル債権ニ依リ相殺ヲ以テ差押債権者ニ対抗スルコトヲ得ス」と規定〜反対解釈として、差押前に〜取得〜債権による相殺は〜対抗し得る〜

〜差押前に取得〜債権を有するときは、差押前既に〜被差押債権と相殺する〜期待を有していた〜、〜期待利益をその後の差押により剥奪することは〜酷であるから〜。

〜差押前に取得〜債権〜弁済期の如何に拘らず、すべて〜対抗し得るものと解することは正当ではない。

〜差押当時両債権が既に相殺適状にあるときは勿論、
反対債権が差押当時未だ弁済期に達していない場合でも、被差押債権〜の弁済期より先にその弁済期が到来するものであるとき〜対抗し得る〜。
〜被差押債権の弁済期が到来して差押債権者が〜履行を請求し得る状態に達した時は、それ以前に自働債権の弁済期は〜到来〜第三債務者は自働債権により被差押債権と相殺〜できる関係〜将来の〜期待は正当に保護さるべきであるから〜。

〜反対債権の弁済期が被差押債権の弁済期より後〜対抗できない〜。
〜被差押債権の弁済期が到来して第三債務者に対し履行の請求をすることができる〜ときには、第三債務者は自己の反対債権の弁済期が到来していないから、相殺を主張し得ない〜、差押当時〜正当な期待を有していた〜いえない〜、既に弁済期の到来〜弁済を拒否しつつ、自己の〜債権の弁済期の到来をまつて相殺を主張〜誠実な債務者とはいいがたく〜保護〜必要がないから〜。

〜将来差押を受ける等の一定の条件が発生した場合〜双方の〜弁済期如何を問わず、直ちに相殺適状を生ずるものとし、相殺予約完結の意思表示により相殺を為し得るという〜相殺の予約は〜差押を契機として〜直ちに相殺適状〜被差押債権を消滅せしめんとするもの〜かかる特約は〜511条の反対解釈上〜対抗を許される場合に該当するものに限つてその効力を認むべき〜。

すなわち、差押前〜取得〜反対債権につき〜弁済期が〜被差押債権の弁済期より先〜将来の相殺に関する期待を正当に保護するもの〜有効に〜対抗し得る〜、然らざる場合〜対抗し得ない〜。〜後者の場合にも〜認めることは、私人間の特約のみによつて差押の効力を排除するもの〜契約自由の原則を以つてしても許されない〜。

〜自働債権の弁済期が受働債権のそれと同じであるかまたはその以前に到来する関係にある債権相互についての右相殺予約は〜対抗し得る〜〜然らざる〜相殺予約に基づく相殺は〜対抗し得ない〜

〜質権および前記相殺の予約〜を知つていたから〜対抗し得る旨主張〜
相殺の予約の効力〜知つていたと否とを問うものでなく、また〜質権につき〜対抗要件を具備していなかつた〜