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質疑応答:法定相続登記ある場合の相続分譲渡→遺産分割

登記研究787平成25・9に、
「相続分の譲渡による所有権の移転の登記の要否について」
と言う質疑応答が出ておりました。
〔要旨〕(抽出・加工あり。原文参照)

〜A,B〜Cを〜名義人とする相続による所有権の移転の登記がされている甲不動産に関し〜Cの相続分をA及びBに対して譲渡する旨の調停〜,その後,AB間で〜Aの単有とする旨の遺産分割協議が行われた場合〜,相続分の譲渡による所有権の移転の登記をすることなく,遺産分割を〜原因として,直接,B及びCからAへの所有権の移転の登記をすることができる。

参考
昭和59年10月15日民三第5195(e-professionいつも感謝)
(抽出・加工あり。原文参照)

二、〜相続人がABCDの4名〜、AB〜が〜相続分をDに譲渡〜、その後D・C問の話し合いがつき、DがAB2名の印鑑証明書付相続分譲渡証書とD・C間の印鑑証明書付遺産分割協議書〜を添付して〜D1人を相続人とする相続登記〜受理〜相続を〜原因とし相続人をDのみとする登記〜できるか。
回答:〜できる〜。

法務省の基本的な考え方から言えば、当然、こうなるものと思います。
次の理解で良いのでしょうか?

1.遺産分割には遡及効がある。
2.相続分譲渡には遡及効がない。
3.相続分譲渡後、遺産分割協議があった場合は、遡及効を認めている。(当然、逆は認めない。)
4.登記先例は、同順位者間の相続分譲渡だけは、遺産分割と同様に遡及効的扱いを認めている。

4は、本来は「法定相続登記」+「相続分譲渡登記」によるべきであるが、
(1)こうした相続分譲渡が、遺産分割協議の前提、又は遺産分割協議に代わるものとしてされることが多い実情に鑑み、また、
(2)法定相続登記を(中間)省略しても、公示上の混乱がないから、便宜的に認めている。
(参考)
平成4年3月18日・民三1404(登研536)+537の解説
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