Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:建替え費用と居住利益

(2010-06-18分の改記分)
平成21(受)1742 損害賠償請求事件
平成22年06月17日 最一小判
裁判要旨抜き書き

 〜新築建物に重大な瑕疵〜建て替えざるを得ない場合〜構造耐力上の安全性にかかわるもの〜倒壊する具体的なおそれがあるなど,社会通念上,建物自体が社会経済的な価値を有しない〜ものであるとき〜買主が〜居住していた〜利益〜は,〜施工者等に対する不法行為に基づく〜損害賠償請求において損益相殺〜として控除〜できない。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

売買〜新築建物に重大な瑕疵〜建て替えざるを得ない場合〜瑕疵が構造耐力上の安全性にかかわるものであるため〜倒壊する具体的なおそれがあるなど,社会通念上,建物自体が社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるとき〜買主〜居住していたという利益〜工事施工者等に対する建て替え費用相当額の損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整〜として〜控除〜できない〜

(2) 〜価値を有しない〜建物を建て替えることによって〜結果的に耐用年数の伸長した新築建物を取得することになったとしても,これを利益とみることはできず〜損益相殺〜すべきもの〜できない。

裁判官宮川光治の補足意見

〜建物の瑕疵は容易に発見できないことが多く〜内容を特定〜時間を要する。〜争って応じない場合も多い。〜買主は経済的理由等から〜やむなく居住し続ける。そのような場合に,居住〜利益と考え,あるいは〜耐用年数が伸長〜利益と考え,損益相殺〜調整〜とすると,賠償が遅れれば遅れるほど賠償額は少なくなる〜。〜誠意なき売主等を利する〜公平ではない。重大な欠陥〜危険を伴う建物に居住することを法的利益と考えること〜交換価値がないのに〜耐用年数が伸長するなどと考えることは〜相当でない〜。

 学説や判例が分かれていたことだそうで、あちこちで取り上げられておりましたが、この判決は、先に「一般的結論」を書いておいて、本件建物は、「この場合に当たる」ので〜、と言う書き方をしており、肝心の一般的結論の理由が書いてありません。
 これについて町村先生が下記のように書いておられ、上記補足意見を読む必要があるようです。
Arret:建築瑕疵と居住利益: Matimulog