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最高裁:固定資産税納付と国家賠償請求

(2010-06-09分の改記分)
平成21(受)1338 損害賠償請求事件
平成22年06月03日 最一小判
裁判要旨抜き書き

 〜固定資産の価格を過大に決定したときは〜納税者は,地方税法〜審査の申出及び〜取消訴訟等の手続を経るまでもなく,国家賠償請求を行い得る。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

2(1) 〜固定資産〜課税台帳〜価格に〜不服〜,原則〜納税通知書〜を受けた日後60日までの間〜に〜固定資産評価審査委員会に審査の申出〜でき(432条1項本文),〜不服〜,〜取消しの訴えを提起〜できる(434条1項)。同委員会に〜申し出〜できる事項〜同委員会に対する〜申出及び〜決定〜取消しの訴えによってのみ争うことができる(同条2項)。〜

(2) 市町村長は〜評価基準によって〜決定しなければならない〜(〜税法403条1項,388条1項)〜,〜一般用の倉庫等〜冷凍倉庫用の建物や塩素その他の著しい腐食性を有する液体〜気体の影響を直接全面的に受ける建物等〜よりも高く評価〜ことになっている。

(2) 〜港区長は〜倉庫が冷凍倉庫等に該当するとして,平成14年度から同18年度までの〜価格を修正〜通知〜各年度に係る〜固定資産税等の減額更正をした。その後,上告人は〜差額〜を還付〜。
(3) 上告人は〜審査委員会に〜審査の申出を行ったことはない。

原審

(1) 国賠法に基づいて〜過納金相当額を損害とする損害賠償請求を許容することは〜価格の決定又はこれを前提とする〜賦課決定に無効事由がある場合は別〜,実質的に,課税処分を取り消すことなく過納金の還付を請求することを認めたのと同一の効果〜,課税処分や登録価格の不服申立方法及び期間を制限して〜早期確定を図った地方税法の趣旨を潜脱〜課税処分の公定力をも実質的に否定することになって妥当ではない。〜。

最高裁

(1) 国賠〜1条1項は,「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が〜職務を行うについて,故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは,国又は公共団体が,これを賠償する〜」と定めており,地方公共団体の〜公務員が〜損害を加えたときは〜地方公共団体がこれを賠償する責任〜。

地方税法は〜審査委員会に審査を申し出〜できる事項について不服がある〜納税者は,同委員会に対する審査の申出及び〜決定〜取消しの訴えによってのみ争うことができる〜が,同規定は〜台帳に登録〜価格自体の修正を求める手続に関するもの〜(435条1項参照),〜価格の決定が〜職務上の法的義務に違背してされた場合における国賠責任を否定する根拠〜ではない。

〜原審は〜課税処分の公定力を〜否定することになり妥当ではないともいうが,行政処分が違法であることを理由として国賠請求をするについて〜あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない(〜)。
このことは〜その〜国賠を認容したとすれば,結果的に〜行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られるという場合であっても異ならない〜。〜他に〜国賠を〜否定する根拠〜見いだし難い

〜たとい固定資産の価格の決定及びこれに基づく〜賦課決定に無効事由が認められない場合であっても〜職務上の法的義務に違背して〜価格ないし〜税額を過大に決定したときは〜納税者は〜審査の申出及び〜取消訴訟〜を経るまでもなく,国賠請求を行い得る〜。

地方税法(抽出・加工あり。原文参照)

(争訟の方式)
434条 固定資産税の納税者は、〜審査委員会の決定に不服があるときは〜取消しの訴えを提起〜できる。
2 432条1項〜により〜審査を申し出〜できる事項について〜同項及び前項〜によることによつてのみ争うことができる。

(固定資産課税台帳に登録された価格に関する審査の申出)
432条 固定資産税の納税者は〜課税台帳〜価格〜に〜不服がある場合〜、

・411条2項の〜公示の日から納税通知書の交付を受けた日後60日まで〜
・419条3項の〜公示の日から〜60日〜までの間〜
・417条1項の通知を受けた日から60日以内に、

〜固定資産評価審査委員会に〜申出〜できる。
 ただし〜411条3項〜によつて〜課税台帳〜に登録〜とみなされる〜価格〜は〜349条2項1号〜事情があるため〜同項ただし書、3項ただし書又は5項ただし書〜の適用〜あることを申し立てる場合を除いては〜申出〜できない。
3 固定資産税の賦課〜の不服申立てにおいては、1項〜により審査を申し出〜できる事項〜の不服を〜固定資産税の賦課についての不服の理由と〜できない。

(固定資産の価格等の登録)
411条2項 市町村長は〜課税台帳に〜価格等〜を登録した場合〜直ちに〜公示〜
3 第二〜第三年度において〜基準年度の価格による場合〜基準年度の価格をもつて第二〜第三年度〜登録〜価格とみなし、第三年度において〜比準価格による場合〜登録〜比準価格をもつて第三年度〜登録〜比準価格とみなす。

(土地又は家屋に対して課する固定資産税の課税標準
349条2項 〜第二年度の〜課税標準は〜基準年度の〜価格で〜登録されたものとする。
 ただし、基準年度の土地又は家屋について第二年度の〜賦課期日に〜次の各号〜事情〜、基準年度の〜価格によることが不適当〜著しく均衡を失すると〜認める場合〜第二年度の〜課税標準は〜類似〜土地又は家屋の基準年度の価格に比準〜価格で〜登録されたものとする。

  • 一 地目の変換、家屋の改築又は損壊その他〜特別の事情
  • 二 市町村の廃置分合又は境界変更

3 基準年度の土地又は家屋に対して課する第三年度の〜課税標準は〜基準年度の〜価格〜で〜登録されたものとする。ただし〜第三年度の〜賦課期日に〜前項各号〜事情〜比準〜価格で〜登録されたものとする。
5 第二年度の土地又は家屋に対して課する第三年度の〜課税標準は〜第二年度の〜価格で〜登録されたものとする。ただし〜第三年度の〜賦課期日に〜第二項各号〜事情〜比準〜価格で〜登録されたものとする。

(〜評価〜事務〜市町村の職員の任務)
403条 市町村長は〜道府県知事又は総務大臣が〜評価する場合を除く外、〜評価基準によつて〜価格を決定しなければならない。
(〜総務大臣の任務)
388条 総務大臣は〜固定資産評価基準〜を定め〜告示しなければならない。〜