Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:株式の高額購入と善管注意義務

(2010-07-16分の改記分)
平成21(受)183 損害賠償請求事件
平成22年07月15日 最一小判
判示事項

〜事業再編計画の一環として〜株式を〜買い取る場合に〜買取価格〜について善管注意義務違反はないとされた事例

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

〈1〉〜重要〜子会社であるBは,完全子会社である必要があり,そのため〜AもBとの合併前に完全子会社とする必要があること,
〈2〉〜Aを完全子会社とする方法は〜円滑な事業遂行を図る観点から,株式交換ではなく,可能な限り任意の〜買取りを実施すべきであること,
〈3〉〜買取価格は払込金額である5万円が適当〜などが提案された。
〜弁護士は,基本的に経営判断の問題であり法的な問題はないこと〜価格設定は必要性とバランスの問題〜〜必要性が〜あれば許容範囲〜意見を述べた。
〜提案のとおり〜決定〜買取りに応じない〜株主については,株式交換〜了承〜。

〈5〉〜株式交換に備え,監査法人等2社に株式交換比率の算定を依頼〜
一つにおいては〜1株〜9709円,他の一つにおいては〜1株〜6561円ないし1万9090円とされた。
〈6〉〜応じなかった1社を除く株主から〜1株当たり5万円〜で買い取った
〈7〉〜その後〜株式交換〜Aの株式1株について,参加人の株式0.192株の割合をもって割当交付するものとされた。

原審

〜買取価格〜払込金額〜同額〜それより低い額で〜円滑に進まないといえるか否かについて十分な調査,検討等がされていない〜,既に〜発行済株式の〜3分の2以上〜を保有していた参加人において〜経営上どの程度有益〜か検討が十分にされていない〜,〜買取価格〜1万円〜相当〜合理的な根拠〜理由を見出すことはできず〜取締役としての善管注意義務に違反〜。

最高裁

〜合併して不動産賃貸管理等の事業を担わせるという〜グループ〜事業再編計画の一環〜,このような事業再編計画の策定は〜メリットの評価を含め,将来予測にわたる経営上の専門的判断にゆだねられている〜

〜株式取得の方法や価格〜も,取締役において〜評価額のほか〜取得の必要性〜財務上の負担〜円滑に進める必要性の程度等をも総合考慮して決定〜でき〜決定の過程,内容に著しく不合理な点がない限り,取締役〜善管注意義務に違反〜ない〜

〜参加人が〜任意の合意に基づいて買い取ること〜円滑に〜取得を進める方法として合理性〜,〜買取価格〜設立〜5年が経過〜にすぎない〜払込金額〜基準〜一般的にみて相応の合理性がないわけではなく〜Aの株主には〜事業〜上重要であると考えていた加盟店等が含まれており〜円満に進めて〜友好関係を維持すること〜事業遂行〜に有益であった〜,非上場株式〜の評価額には相当の幅があり〜Aの企業価値の増加も期待できたことからすれば,株式交換に備えて算定された〜評価額や実際の交換比率が前記のようなものであったとしても〜1株当たり5万円〜著しく不合理〜いい難い。

〜決定〜過程〜グループ〜各社の全般的な経営方針等を協議〜機関である経営会議において検討され,弁護士の意見も聴取されるなどの手続が履践されている〜決定過程にも,何ら不合理な点は見当たらない。
〜取締役の判断として著しく不合理なものということはできない〜善管注意義務に違反〜ない。