Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:権利能力のない社団に対する差押

(2010-07-01分の改記分)
平成21(受)1298 執行文付与請求事件
平成22年06月29日 最三小判
裁判要旨抜き書き

 権利能力のない社団〜不動産に〜強制執行〜する場合〜構成員全員の総有に属することを確認する〜確定判決その他〜準ずる文書を添付して〜申立てをすべき〜上記不動産を執行対象財産とする執行文の付与を求めることはできない。

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(抽出・加工あり。原文参照)

 権利能力のない社団を債務者とする金銭債権〜債権者が,構成員の総有不動産に対して強制執行をしようとする場合〜第三者が〜名義人とされているときは,〜当該社団を債務者とする執行文の付された上記債務名義の正本のほか〜不動産が〜総有に属することを確認する旨の〜債権者と〜社団及び〜登記名義人との間の確定判決その他〜準ずる文書を添付して〜申立てをすべき〜,

法23条3項〜を拡張解釈して〜名義人を債務者として〜執行対象財産とする法27条2項の執行文の付与〜できない〜

〜権利能力のない社団の構成員の総有不動産〜は〜債務名義上の債務者と〜名義人とが一致することはない。〜通常の〜強制執行と全く同様の執行手続を執るべきものと解したならば〜債権者が〜権利の実現を法が拒否するに等しく〜相当でない。
〜登記記録の表題部に〜債務者以外〜所有者として記録されている不動産に対する強制執行をする場合に準じて〜総有〜を確認する〜社団及び〜名義人との間の確定判決その他〜準ずる文書を添付して〜申立て〜できる〜(民執規則23条1号〜)。

法23条3項〜は,特定物の引渡請求権等〜の強制執行〜,法27条2項〜執行文付与の手続及び執行文付与の訴えにおいて〜対象〜財産が〜債務者に帰属するか否かを審理することも予定されていない〜法23条3項の規定を金銭債権に〜拡張解釈〜許されない〜

 田原睦夫裁判官の補足意見が付いており、名義人が社団の代表者である等関連性が明らかな場合とそうでない場合などについての説明などが具体的にされております。
民事執行法

強制執行をすることができる者の範囲)
第23条 執行証書以外の債務名義による強制執行は、次に掲げる者に対し、又はその者のためにすることができる。

  • 一 債務名義に表示された当事者
  • 二 債務名義に表示された当事者が他人のために当事者となつた場合のその他人
  • 三 前二号に掲げる者の債務名義成立後の承継人(〜)

2 執行証書(略)
3 第1項に規定する債務名義による強制執行は、同項各号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者に対しても、することができる。

第27条
2 債務名義に表示された当事者以外の者を債権者又は債務者とする執行文は、その者に対し、又はその者のために強制執行をすることができることが裁判所書記官若しくは公証人に明白であるとき、又は債権者がそのことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。

民事執行規則(申立書の添付書類)
第23条 不動産に対する強制競売の申立書には、執行力のある債務名義の正本のほか、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 登記がされた不動産については、登記事項証明書及び登記記録の表題部に債務者以外の者が所有者として記録されている場合にあつては、債務者の所有に属することを証する文書

町村先生も取り上げておられました。
arret:権利能力なき社団と執行文付与: Matimulog