Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

東京地裁:危急時遺言における「口授」

昭和57(ワ)5959号、昭和57(ワ)7680 遺言無効確認等請求、遺言無効確認請求事件
昭和59年07月30日 東京地判
判示事項

 危急時遺言〜遺言者との口頭の問答から〜特定の内容の遺言をする意思〜明らか〜「遺言の趣旨の口授」があったとされた事例

id:gen-mai の S590730東京地判S57(ワ)5959遺言無効.pdf
(抽出・加工あり。原文参照)

〜弁護士〜訴外AK〜に〜遣言書作成の意思を伝え〜相談〜
〜AKは〜入院中の亡ハナを訪ね〜意向を開いた〜、「自分の住んでいるうちをお松にやる」旨述べたが、あまり症状が良くなかっだため、そのまま戻り〜事務所においてあらかじめ〜土地建物を具体的に記載した遺言書の原稿を作成〜。
〜その後〜弁護士〜訴外O〜M〜とともに〜病院を訪れ〜病院長〜に面接〜容態を確認のうえKに立会を求めた。
〜意識は清明〜意思能力も遺言能力もあるとの診断〜
〜「自分が今住んでいる家と土地をお松にやる」と述べた。〜AKは用意持参した遺言書原稿の内容を読み聞かせ〜亡甲野は「そのとおり間違いない」と述べた〜その場で署名押印〜。
〜立会証人〜O〜Mは、読み上げた遺言書原稿の記載内容が〜遺言趣旨どおりであることが承認されたので〜筆記の正確な事をそれぞれ承認〜その場で〜署名押印〜

〜「口授」〜言語による意思表示すなわち口述を意味する〜、単なる首肯など〜は〜含まれない〜が、〜976条は遺言の「趣旨」を口授〜と規定〜、遺言書の文言どおり口述する必要はない〜

〜同条が「遺言趣旨の口授」を要件とした理由〜危急時遺言は〜第三者が〜作成する方式をとる〜、作成された遺言書が〜真意と合致するか否かを立会証人に確かめさせるには口頭〜意思の表示が最も妥当〜と考えたから〜

〜「遺言の趣旨の口授」があるといえるためには〜立会証人が〜真にある特定の内容の遺言をする意思があることを確かめるに足る程度の口述が必要〜、〜明らかになる以上〜発する言葉自体の中に遺言の骨子がすべて含まれている必要はなく、立会証人と遺言者との口頭による問答から遺言書において特定の内容の遺言をする意思があることが明らかになれば、「遺言の趣旨の口授」があったものと解すべき

〜遺言をする以前に〜あらかじめ〜直接あるいは被告を通じて〜意向を聞いて作成し〜たもの〜〜976条に定める口授と筆記の順序が前後したにとどまる〜、〜真意を確保〜正確を期するため遺言の方式を定めた法意に反するものではなく〜方式に違反〜ない。

☆遺言と遺言執行〜(松井秀樹先生) - g-note(Genmai雑記帳)で引用しておられましたので、読んでみました。