Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:実質破綻会社への融資

(2010-08-25分の改記分)
平成18(あ)2057 商法違反被告事件
平成21年11月09日 最三小決
裁判要旨抜き書き

 銀行の代取が,実質倒産状態にある融資先〜に対し,客観性を持った再建・整理計画もなく〜回収額をより多くして銀行の損失を極小化する目的も明確な形で存在したとはいえない状況で〜実質無担保で追加融資したことは〜著しく合理性を欠き,銀行の取締役として〜債権保全に係る義務に違反〜特別背任罪における〜任務違背〜。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面 ・・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

〜銀行の取締役〜一般の〜取締役と同様〜いわゆる経営判断の原則が適用される余地がある。〜
しかし,銀行業が広く預金者から資金を集め〜融資することを本質とする免許事業であること,〜金融取引の専門家であり〜知識経験を活用して融資業務を行うことが期待されていること,万一〜破たん〜危機にひんした場合〜預金者及び融資先を始めとして社会一般に広範かつ深刻な混乱を生じさせること等を考慮すれば〜注意義務の程度は一般の〜会社取締役の場合に比べ高い水準〜経営判断の原則が適用される余地はそれだけ限定的

〜例外的に,実質倒産状態にある企業に対する支援策として無担保〜不十分な担保で追加融資をして再建又は整理を目指すこと等があり得るにしても〜客観性を持った再建・整理計画とこれを確実に実行する銀行本体の強い経営体質を必要とするなど〜合理性のあるものでなければならず〜明確な計画の策定〜正式な承認を欠かせない。

Dグループは,本件各融資に先立つ〜期において実質倒産状態〜改善〜見込みはなく〜ほとんど唯一の方途と考えられていた〜開発事業も〜実現可能性に乏しく〜実現したとしても〜採算性にも多大の疑問〜,〜返済は期待できないばかりか,追加融資は新たな損害を発生させる危険性のある状況〜。
〜認識しつつ,抜本的な方策を講じないまま,実質無担保の本件各追加融資を決定,実行〜,〜客観性を持った再建・整理計画があったものでもなく〜損失極小化目的が明確な形で存在したともいえず〜著しく合理性を欠いたもの〜債権保全に係る義務に違反〜。〜任務違背〜

銀行員は大変です。
しかし、任務懈怠はともかく、図利加害目的の部分は、「融資先」の利益を図った、と言うことになるのでしょうか??
参考
最高裁:株式の高額購入と善管注意義務 - g-note(Genmai雑記帳)
最高裁:取締役会決議のない業務執行 - g-note(Genmai雑記帳)
最高裁:株主代表訴訟の対象となる「取締役ノ責任」 - g-note(Genmai雑記帳)
最高裁:取締役の責任の消滅時効 - g-note(Genmai雑記帳)
g-note(Genmai雑記帳)