Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:司法書士の代理権確認義務

(2010-08-26分の改記分)
昭和48(オ)293 損害賠償請求
昭和50年11月28日 最三小判
裁判要旨抜き書き

 司法書士は、登記義務者代理人と称する者の依頼により登記申請をするにあたり〜代理権の存在を疑うに足りる事情がある場合には〜本人に〜代理権授与の有無を確かめ、不正な登記が〜ないように注意〜義務がある。

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(抽出・加工あり。原文参照)

司法書士は、登記義務者代理人と称する者の依頼を受け〜移転の登記申請をするにあたり〜代理権〜を疑うに足りる事情がある場合〜、〜義務者本人に〜代理権授与の有無を確め、不正な登記がされることがないように注意を払う義務がある〜
〜このような場合〜、保証人として(旧法)四四条の保証書を作成する者も、同様の義務がある〜

〜Dは〜義母Eの印鑑と印鑑証明書等を持参〜司法書士〜上告人A1に〜、
「家族の中で男は自分一人だから、自分が土地の贈与を受けたので登記してほしい。権利証は紛失した。」〜移転登記〜依頼〜、
〜義理の親子の関係〜知つていた〜、〜軽信〜かねて面識のあるEに〜真意を確めることなく、
Dが持参したE及び訴外Fの印鑑を用いて代理人A1名義の〜贈与証書
同上告人を受任者とするE名義の〜委任状〜不登法四四条〜のF名義の保証書を作成〜
〜更にその妻である上告人A2〜の承諾のもと〜A2名義の保証書を作成させ〜
〜法務局〜に提出〜、〜Eに宛てた〜照会の書面を持参したDの依頼により、Eの記名押印をして〜回答書を作成〜送付〜登記がされた。

〜A2は〜真意を確めなかつた。
〜Dが持参したEの印鑑はDが偽造〜印鑑証明は〜偽造にかかる印鑑を行使して交付を受けたもの〜
〜保証書を作成するためDが持参したFの印鑑もDが偽造〜

〜被上告人は〜Dの所有〜と信じ〜Dに〜一〇〇万円を〜貸与〜抵当権設定登記、停止条件付〜移転仮登記〜停止条件付賃借権仮登記〜。
〜Eが被上告人とDとを被告として〜登記抹消請求〜被上告人らは敗訴〜各登記はいずれも抹消〜損害〜
Dの代理権の存在を疑うに足りる事情があり〜本人に〜代理権授与の有無を確めるべきところ〜怠つた〜過失〜原審〜正当〜。

 司法書士の実質的確認義務の議論の中で良く牽かれる判例です。
今となってとは、「そりゃ、そうだろう。」と言うような古典的な内容ですね。
(それにしても、「E代理人A1名義の〜贈与証書」と言うのはどう言う意味でしょうか?)