Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:土地貸主の建物担保権者への通知義務

(2010-09-13分の改記分)
平成21(受)1661 損害賠償等請求本訴,同反訴事件
平成22年09月09日 最一小判
判示事項抜き書き

土地の賃貸人〜が〜建物の根抵当権者に対し〜念書を差し入れた場合〜通知〜不履行を理由とする〜損害賠償請求〜事例

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

〜上告会社は〜土地を賃借し〜Aに〜転貸〜
〜Aは〜被上告人の〜債権を担保するため〜建物に〜根抵当権〜設定〜。
〜「借地に関する念書」〜上告人らは〜被上告人に交付〜。
〜「〜地代不払い,無断転貸など借地権の消滅〜変更を来たす〜おそれのある事実の生じた場合〜貴行に通知する〜借地権の保全に努めます。」と記載〜
〜別件訴訟〜確定〜建物が収去〜根抵当権〜消滅〜。

〜念書を差し入れ〜義務を負う旨を合意〜不履行〜損害賠償〜責任を負う〜
〜直接説明を受けておらず〜対価の支払を受けていなかったなどの事情〜異ならない。
〜不動産の賃貸借を目的とする会社等であること〜念書を差し入れ〜経緯,〜解除するに至った経緯等〜事情〜被上告人が〜損害賠償を請求することが信義則に反し,許されないとまで〜はできず,被上告人の過失をしん酌し〜8割を減額〜相当〜

裁判官宮川光治の補足意見

今後は,金融機関においては〜過失相殺〜にも配慮し,債務者及び担保物について適切に管理〜賃貸人に対し承諾文書に関し説明し,その写しを交付することなど賃貸人の理解に欠けるところがないよう実務を改めることが必要〜。

 担保権設定契約書には、大抵の場合「借地権保全条項」のようなものが入っていて、債務者・設定者には通知義務が課されていますが、貸主側にも、この義務を負わせて保全を確実にしようと思うと、こうした念書によるのが一般的です。
 金融機関の職員から相談を受けることも多いケースですが、こうした「通知義務」を特別意識したものになっていない場合も多いかと思われます。注意したいものです。

 しかし、8割相殺で196万円と言うのは、当然としても酷ですね。債権管理上、建物収去まで放置していたと言う点が大きいのでしょうか。

 予防法務を考える司法書士としては他に良い方法がないかと考えてしまいます。
 思いつきですが、貸主借主間で、賃貸借契約書の「特約契約書」として、銀行への通知義務を記載したものを交わすことにより、貸主の意識しやすいものにすると言うのはどうでしょうか?

追記
研修:「借地借家法」(山内鉄夫先生)でも引用されていました。
研修:「借地借家法」・引用判例等