Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

大阪高裁:(相続)共有株式の権利行使

(2009-06-17分、2013-02-07の改記分の再改記分)
阪高裁 平成20年11月28日判決

 相続共有株式について、共同相続人間での協議がされてないため、権利行使者の指定ないし議決権の行使は権利の濫用とされた事例

id:gen-mai の H201128大阪高裁・要旨・共有株式の議決権行使.pdf

 合計の相続持分が過半数を超えている側(子Xグループ)が、一方的に、その権利行使者を指定して総会に臨んだが、会社側(子CDグループ)が、この議決権行使を認めなかった例。
(抽出・加工あり。原文参照)

〜共同相続人の準共有〜、〜権利を行使〜は、共有者の中から権利行使者を指定〜会社に通知しなければならない〜。〜

〜権利行使者を指定〜に〜は、準共有持分に従いその過半数をもって〜決することができる〜(〜平成5(オ)1939同9年01月28日〜三小判平成10(オ)866・同11年12月14日三小判〜)。

〜遺産分割協議や家庭裁判所での調停〜審判〜までの、一時的〜暫定的状態〜〜
〜指定〜議決権の行使〜は、会社の事務処理の便宜を考慮して設けられた制度の趣旨を濫用〜悪用〜であってはならない〜

〜権利行使者の指定は、最終的には準共有持分〜の過半数〜としても、〜準共有が暫定的〜、〜相続人間で事前に議案内容の重要度に応じしかるべき協議をすることが必要〜、〜協議を全く行わずに権利行使者を指定するなど、〜手続の過程で〜権利を濫用した場合〜権利行使者の指定〜議決権の行使は権利の濫用〜

〜暫定的な事態にもかかわらず〜わずか〜の差で過半数を占めること〜を奇貨とし〜経営を混乱に陥れることを意図〜協議〜ないまま〜行使者を指定〜。〜権利の濫用〜

 この事案では、協議したとしても結果に変わりはないと思われるところから、いま一つ納得できない所がありますが、「協議」→「指定」→「議決権行使」と言う手続を重視すると言うことになりましょうか。

寄居先生のお考え:【金融・企業法務】 共同相続人が相続し、共有状態にある株式に関する権利行使者の定め、株主総会における議決権の行使が権利濫用にあたり、許されないとされた事例(大阪高裁平成20年11月28日判決): 田舎弁護士の訟廷日誌(四国・愛媛)

 相続株式の議決権と言う問題は、実務上も、良く、扱いに困る問題です。
 いっそ、遺産分割協議が未了の間は、持分割合による分割行使ができるようにした方が分かりやすいと思いますが、それでは会社側が困る、と言うのがこの制度の趣旨のようです。
 しかし、実際の所、日本の大多数を占める小(家族)会社においては、そんなに困らないのではないかとも思いますが・・・・。

 なお、相続共有株式について、未分割、未協議の場合に、これを定足数に含めるかどうかについては、随分前に、葉玉先生のブログ(会社法であそぼ)に質問したことがあり、自分ながらに整理できていたように思っていたのですが、未だ釈然としないところです。