Genmai雑記帳

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最高裁:農地の時効取得と無過失

昭和58(オ)1064 所有権移転登記手続
昭和59年05月25日 最二小判
裁判要旨抜き書き

 農地の譲受人が〜知事の許可を受けていないときは、特段の事情のない限り〜占有〜に当たつて〜自己の所有と信じても、無過失〜とはいえない。

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(抽出・加工あり。原文参照)
原審

(一)〜訴外亡Dから〜cの土地〜の贈与を受け〜引渡を受けて占有を開始〜昭和四〇年ころまで右占有を継続〜
(二)〜占有を開始するにあたつて〜所有権を取得したと信じていた〜、〜信ずるについて過失と咎むべき事情も存しない〜所有の意思をもつて平穏公然に占有〜占有の始め善意〜過失がなかつたと〜昭和〜月の経過とともに〜所有権を時効により取得〜
(三)cの土地は〜昭和〜日土地改良法による換地処分〜、他の八筆の土地とともに本件(四)の土地が換地として指定された〜本件(四)の土地につきcの土地相当の八〇〇三分の九〇の割合による共有持分を取得〜
(五)〜持分を八〇〇三分の九〇とする持分移転の登記義務がある〜

最高裁

〜本件贈与〜占有を開始した昭和二三年七月当時〜農地の所有権を移転するため〜農地調整法〜〜〜〜知事の許可〜が必要〜許可がない限り〜効力を生じない〜

〜農地の譲渡を受けた者〜通常の注意義務を尽すときには、譲渡を目的とする法律行為をしても〜知事の許可がない限り〜所有権を取得〜できないことを知りえた〜、
〜特段の事情のない限り、譲渡を目的とする法律行為をしただけで〜農地の所有権を取得したと信じたとしても〜信ずるについては過失がないとはいえない〜

特段の事情〜を主張・立証していなかつたことが明らか〜過失がなかつたとはいえない〜

 酒井廣幸先生の「時効の管理」、「続時効の管理」などでも、こうしたことが書いてあり、気をつけるべき点として記憶しておりましたが、実務上の解釈としては、「占有の始めに農地法の適用があったか(現況が農地であったか)」と言う点がポイントになることが多いように思います。
 また、最高裁の時効判例などを眺めておりますと、必ずしも、この判決文のように理解していないと思われる内容のものも散見されるところではあります。

 実務の中での時効の問題(月報司法書士 2012.8) - g-note(Genmai雑記帳)で引用されておられましたので、再読してみました。

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