Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

福岡地判:時効債権の一部弁済と承認

平成14(レ)30 貸金請求控訴
平成14年09月09日 福岡地判  
裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

 〜Aは〜住民票をとり〜請求〜通知を出した。
 〜電話をかけ〜「一括で支払〜」と催促〜,被控訴人は,「〜元金だけにしてくれないか。」〜,Aは,「いくらかでも支払ってくれたら会社と話をする。」と言った。
 
〜被控訴人は〜Aに〜電話をかけて「一括では無理〜,〜5000円か,せいぜい1万円ずつの支払しかできない。」との条件を提案〜
〜「月末までにとにかく1回支払ってくれ。支払ってくれたら上司に話をする。」と言われた〜,〜いくらかでも支払えば〜元金のみの支払で済ましてもらえるのではないかと期待〜5000円を〜支払った〜

〜Aは〜電話〜被控訴人から〜口座番号を教えてほしいと言われた〜。被控訴人は〜月々5000円〜で40万円であれば支払える旨の条件を提案〜
〜Aは,上司と相談〜40万円を月額5000円で支払えば〜免除〜の和解書〜を作成〜被控訴人宅に送付〜被控訴人は〜紛失〜

 控訴人は〜訴えを提起〜。
 〜口頭弁論期日〜福岡簡裁は〜和解を勧告〜応じなかった。
 〜職権で民事調停〜毎月1万円ずつ〜その余〜を免除〜との〜調停に代わる決定〜。控訴人〜異議を申し出た。
 被控訴人は〜決定に基づき1万円を〜支払った。
 〜そのころ〜裁判官から時効〜を示唆され〜期日に〜消滅時効の援用〜。

(3) 消滅時効の援用権の喪失について
ア 控訴人は,
〈1〉〜5000円を支払ったこと,
〈2〉〜40万円なら支払ってもいいと言ったこと,
〈3〉〜調停に代わる決定に従い1万円を支払ったこと
によって〜援用をしないものと信頼〜,信義則上〜援用権を喪失〜と主張〜。

イ 時効の完成後〜承認をすること〜債務消滅と相容れない行為〜,相手方において〜もはや〜援用をしない趣旨であると考える〜,その後〜援用を認めない〜信義則〜相当〜,〜(〜昭和41年04月20日大法廷〜)

〜完成〜後〜支払額や支払方法についての条件を提案〜日に〜支払っている。
〜各条件の提案は,控訴人が〜条件を受け入れることを前提として示されたもの〜いずれの〜提案〜も〜を受け入れていない〜,〜承認〜と解するのは困難〜

〜5000円を支払っているが,〜支払の経緯や〜1回に留まっていること,支払額〜が〜合計額に占める割合が著しく小さい〜,上記支払も〜債務全体を支払う意思のもとに〜承認したものと解するのは困難〜

〜調停に代わる決定に従い1万円を振り込んでいる〜控訴人が異議〜失効〜上記〜も〜決定が確定することを前提としてなされたもの〜承認〜とみることはできない。

〜したがって〜上記各条件の提案〜5000円又は1万円の各支払を債務の承認とみることはできない〜援用権を喪失〜ということはできない。

ウ〜控訴人〜は〜承認に当たるか否かにかかわらず,〜上記〜行為により〜援用をしない〜と信頼したのであるから,信義則上〜喪失〜と主張〜。

〜上記〜事情が認められることに加え,
〜時効完成後における〜支払交渉のなかでの出来事〜,〜控訴人側に生じたという信頼〜には自ずと限界〜というべき〜
〜Aは〜期間を経過〜を知りながら〜交渉〜一部弁済を求めたのも〜時効の主張を阻止するためであったと認める〜
〜約16年も経過していること〜
〜行為が,信義則上〜援用権を喪失させる事情にあたるとまで〜できない〜

実務の中での時効の問題(月報司法書士 2012.8) - g-note(Genmai雑記帳)で引用されておられましたので、読んでみました。