Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

大阪家裁:遺族年金

昭和57(家)3871 遺産分割申立事件
昭和59年04月11日 大阪家審

判示事項抜き書き

 厚生年金法58条にいう〜遺族年金は、相続法とは別個の立場から受給権者と支給方法を定めたもの〜、妻が支給を受けた遺族年金は〜固有の権利に基づくもの〜遺産ではなく〜特別受益にも該当しない〜

id:gen-mai の S590411大阪家審S57(家)3871遺族年金.pdf
(抽出・加工あり。原文参照)

厚生年金保険法58条は〜遺族年金は〜遺族に支給することとし〜59条で妻と18歳未満の子が第1順位〜としているが〜66条で妻が受給権を有する期間子に対する遺族年金の支給を停止すると定めている。〜妻と子が別居し〜た場合でも分割支給の方法はなく〜配分の参考となる規定はない。

 そうすると同法は相続法とは別個の立場から受給権者と支給方法を定めたもの〜、〜支給を受けた遺族年金は同人の固有の権利にもとづくもので〜遺産と解する〜できない。

 〜特別受益〜持戻計算〜できる〜か。〜受益額の算定は困難〜、かりに平均余命をもとに相手方の生存年数を推定し、中間利息を控除する算式では1367万円となるが〜相続開始時の特別受益額と評価することは明らかに過大〜、受給者の生活保障の趣旨に沿わない〜。

 更に遺族年金の受給自体民法903条規定の遺贈又は生前贈与に直接該当しない〜。
 結局本件〜において遺族年金の受給、配分を考慮することはできない〜。

☆遺言と遺言執行〜(松井先生)10−遺留分についての諸問題 - g-note(Genmai雑記帳)で引用されておられましたので、読んでみました。