Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:遺言書の記載のみに依拠

平成16(受)443 親子関係不存在確認等,相続回復,土地所有権確認等請求事件
平成17年07月22日 最二小判
判示事項抜き書き

遺言書の記載のみに依拠して〜文言を形式的に解釈〜違法〜事例

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

(1)丁は,兄〜とその妻〜の間に出生した上告人について,丁と〜妻〜の嫡出子として出生の届出〜
(3)〜自筆の遺言書〜。〜1項から3項〜は,特定の財産について特定人を指定して贈与〜
〜4項〜「遺言者は法的に定められたる相續人を以って相續を与へる。」〜

原審

〜丁が〜1項から3項〜を除く〜遺産を上告人に遺贈する意思を有していたのであれば〜4項においても〜上告人を具体的に指定すれば足りるのに〜していない。〜「法的に定められたる相續人」は〜単に法定相続人を指す〜
〜また〜1項及び3項では「贈与」の文言が用いられている〜4項では〜用いられていない〜,〜「相續を与へる」を遺贈の趣旨〜と解することはできない。〜

最高裁

 遺言〜解釈〜遺言書の文言を形式的に判断するだけでなく,遺言者の真意を探究すべき〜
〜複数の条項から成る場合に〜特定の条項を解釈するに当たっても,単に遺言書の中から当該条項のみを他から切り離して抽出〜文言を形式的に解釈するだけでは十分でなく,遺言書の全記載との関連,遺言書作成当時の事情〜遺言者の置かれていた状況などを考慮して,遺言者の真意を探究〜条項の趣旨を確定すべき〜(昭和55年(オ)973同58年03月18日二小判〜)。

 原審〜遺言書の記載のみに依拠〜
〜丁は〜子がなかったため〜実子として養育する意図で〜嫡出子として出生の届出〜,
〜上告人は〜丁夫婦に引き取られた後丁が死亡するまでの約39年間,丁夫婦とは実の親子と同様の生活をしていた〜
〜遺言書が作成〜当時,上告人は,戸籍上,丁の唯一の相続人であった〜
〜丁としては,同人の相続人は上告人のみであるとの認識〜,〜1項から3項〜以外はすべて上告人に取得させるとの意図〜遺言書を作成〜
〜4項の「法的に定められたる相續人」は上告人〜,「相續を与へる」は客観的には遺贈の趣旨と解する余地が十分にある〜。

登研「遺言・遺産分割等〜諸問題(上)」・登記申請の審査 - g-note(Genmai雑記帳)で引用されていましたので読んでみました。

遺言の解釈-自筆証書遺言をめぐる現実と混迷(月報司法書士2014.9) - g-note(Genmai雑記帳)でも引用されていました。