Genmai雑記帳

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最高裁(新):再生債権の相殺

平成24(受)908 損害賠償等請求及び独立当事者参加事件
平成26年06月05日 最一小判
裁判要旨抜き書き

 〜支払停止前に再生債権者から購入した投資信託受益権につき〜再生債務者が再生債権者に対して取得した解約金の支払債権を受働債権とする相殺が許されない〜事例

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(抽出・加工あり。原文参照)

〜上告人は,被上告銀行と〜投資信託受益権の管理等を委託する旨の契約〜を締結〜平成12年1月から平成19年3月〜順次購入〜
〜被上告銀行は,平成20年11月までに,上告人に対する保証債務履行請求権を取得〜
〜上告人は,平成20年12月〜支払を停止〜銀行は,同日,その事実を知った。
〜被上告銀行は,平成21年3月〜保証債務履行請求権を保全するため〜受益権につき,債権者代位権に基づいて〜解約実行請求を上告人に代わって行い〜解約金〜717万〜円〜が振り込まれた。
〜これにより,被上告銀行は〜上告人に対し〜解約金の支払債務〜を負担〜
〜被上告銀行は,平成21年3月〜上告人に対し〜保証債務履行請求権を自働債権〜,本件債務に係る債権を受働債権〜,〜相殺〜意思表示〜
〜上告人は,平成21年4月〜再生手続開始の申立て〜同年5月〜,再生手続開始の決定〜

原審

〜「支払の停止があった後に再生債務者に対して債務を負担した場合」に当たるものの,同条2項2号にいう「支払の停止があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たるから〜相殺は許される〜

〜被上告銀行を通じてしか解約金の支払を受けることができない仕組みとなっていたのであるから〜支払の停止を知った時より前に生じた原因に基づく場合〜といえる。

最高裁

〜上告人が有していたのは投資信託委託会社に対する〜受益権であって〜全ての再生債権者が等しく上告人の責任財産としての期待を有している〜。

〜解約〜されたことにより〜支払請求権を取得〜受益権と実質的には同等の価値を有するもの〜。

〜解約〜は〜支払の停止を知った後にされたものであるから〜,被上告銀行において〜相殺に対する期待があったとしても〜合理的なものであるとはいい難い。

〜また,上告人は〜他の振替先口座への振替をすることができた〜。〜被上告銀行が〜本件債務を負担することが確実であったということもできない。

〜被上告銀行が〜相殺をするためには,他の債権者と同様〜債権者代位権に基づき〜解約実行請求を行うほかなかった〜

〜相殺の担保的機能に対して合理的な期待を有していたとはいえず〜相殺を許すことは〜債権者間の公平・平等な扱いを基本原則とする再生手続の趣旨に反する〜。

〜本件債務の負担は,民再法93条2項2号にいう「支払の停止があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たるとはいえず〜相殺は許されない〜。

町村先生が、よりうまくまとめておらました。
arret:再生手続と相殺: Matimulog