Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:相続人の一人への遺贈

平成9(行コ)13 不動産登記申請却下処分取消請求控訴事件
平成10年01月22日 仙台高判
判示事項抜き書き

 相続人の一人に遺産全部を包括〜遺贈〜遺言公正証書相続を原因とする所有権移転登記申請〜相続を証する書面の添付がないとしてした却下〜適法〜事例

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(抽出・加工あり。原文参照)

二 〜遺言の解釈〜文言を形式的に判断するだけではなく〜意思を尊重〜合理的に〜趣旨(〜真意)を探求すべきものではあるが、遺言という意思表示の解釈問題である以上、まず重視すべきは遺言書の文言〜〜文言上は包括遺贈〜一義的に明らか〜

民法は相続人に対するものであっても包括遺贈を認めている〜
〜包括遺贈〜(全部包括遺贈)と〜(割合的包括遺贈)とがあり〜本件〜全部包括遺贈〜
〜全部包括遺贈は〜遺産分割手続を経ることなく直ちに物権的に権利取得の効果を生じさせる〜
〜実質は〜遺産を個々的に掲記する代わりに〜包括的に表示〜特定遺贈の集合体〜(〜二小平成8年01月26日〜)、相続人に対する全部包括遺贈〜相続分の全部指定と見るのは相当でない。〜

〜昭和六二年〜、当時既に、公証実務〜「相続させる」〜文言〜一般的〜
〜Aが「〜相続させる。」〜遺言をしておれば、単独で相続登記〜可能〜、〜免許税も低額〜このことをAが知っていたならば、〜Aは当然〜「相続させる」〜遺言の方法を選択したであろうことは推認〜難くないし、登記官〜周知の公証実務を遺言書の合理的解釈にあたって考慮するのは〜形式的審査権の及ぶ範囲内〜。

 しかし〜Aが〜公証実務を知っていたかどうかを調査することは、登記官の形式的審査権の及ぶ範囲外〜、〜書類と登記簿を審査の資料として〜全記載に照らし右公証実務をも考慮の上、合理的に遺言の趣旨を解釈すべき〜

〜この見地から検討〜、本件〜弁護士〜(証人〜遺言執行者〜)や公証人〜が関与〜、それなのに〜全部包括遺贈〜明言〜、
〜登記実務〜、〜相続人中の一部の者に対し〜全部を包括贈与する〜遺言〜、〜遺贈を〜原因〜(昭和38年11月20日民甲3119〜)、
本件〜他の相続人の関与なしに〜申請ができるように遺言執行者も指定されている〜などを考慮〜、本件遺言はその文言に従い〜全部包括遺贈の趣旨〜と解すべき〜

〜なお、前掲民事局長〜回答〜なお書きで〜受ける者が〜全員である場合〜相続を〜原因〜登記をすべき〜としている〜、
〜一部に対する〜場合と〜全員に対する〜場合とで取扱いが異なり〜遺贈の文言〜遺言によっても相続〜原因とする登記〜認められている〜。
しかし〜行政通達〜直ちに〜遺言の解釈が左右されるべきものではない。
しかも〜局長回答〜事例を異にする〜(〜)、〜受ける者が相続人中の一部〜か〜全員〜かを指標として〜原因につき〜遺贈、〜相続と遺言の趣旨を異なって解釈すること〜疑問の余地〜。
〜右〜局長回答のなお書きを考慮しても〜遺言の解釈に消長はない。

 もっとも、共同相続人に対する割合的包括遺贈は、遺産全体に対する指定割合によって遺産分割手続を行うことを意図するもの〜、〜個々の〜財産につき〜指定割合に応じた共有持分を物権的に取得させるものではない〜実質は相続分の指定〜と同様〜。
〜この場合〜相続を〜原因として〜登記〜できると考えられ、包括遺贈でありながら、相続による登記ができるものとできないものとがあることになるが、前者は割合的包括遺贈、後者は全部包括遺贈の場合〜〜法的性質を異にする〜、前者の場合があるゆえに、先に説示した〜解釈に影響〜ない〜。

〜相続を原因〜申請を行い〜訴訟を提起しているのは、〜〜登録免許税額が〜多額〜、〜課税の公平の見地〜問題がないとはいえないけれども、このような事情〜、以上説示〜解釈を左右することは困難〜。
〜以上〜却下〜適法〜

登研「遺言・遺産分割等〜諸問題(中)」・6遺贈と不動産登記2 - g-note(Genmai雑記帳)で引用されていましたので読んでみました。