Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

一人遺産分割協議の可否・敗訴判決

平成25(行ウ)372 処分取消等請求事件
平成26年3月13日 東京地方裁判所
判示事項抜き書き

 〜遺産分割未了のまま他の相続人が死亡したから当該遺産全部を直接相続した旨を記載した遺産分割決定書と題する書面を添付〜登記官が登記原因証明情報の提供がないとしてした却下決定が,適法〜

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

1登記原因証明情報〜登記の内容の正確性を確保するため〜,登記官において〜権利変動が有効に成立していることを形式的に審査し得るものでなければならない〜
〜〜本件証明情報によって,原告が本件1次相続により〜各共有持分の全部を直接相続したということを形式的に審査し得るものではない〜

3(1) 〜原告は,本件2次相続の開始〜時に〜亡Bの遺産を取得しており〜2次相続の開始後,既に自己に帰属している亡Bの遺産(亡Aの遺産に対する相続分)を,改めて自己に帰属させる旨の意思表示(遺産処分決定ないし遺産分割協議)を観念する余地はなく〜遺産処分決定は法的には無意味〜
〜2次相続の開始時に〜遺産共有〜は解消〜,原告が〜1次相続における亡Bの相続人としての地位と,原告固有の相続人としての地位を併有しているということができない〜明らか〜

家庭裁判所においても相続資格の併有が認められている旨主張〜併有が問題となるのは,数次相続が発生し,かつ,複数の相続人が存在している場合〜,
〜長年の慣行として〜認める登記実務が存在していた旨主張〜
三多摩支会は,平成6年〜できると〜決議〜三多摩地域以外においても〜認める例が,複数存在〜
〜東京法務局民事行政部不動産登記部門は,平成6年当時〜是認する〜見解を示していた〜うかがわれる。〜しかしながら〜遺産処分決定を観念する余地がないことは前記〜のとおり〜実体法上の根拠がない〜

(nsrで紹介されていたので知りました。感謝。)nsr会員の方は左記をクリックしてnsrにログインし、再度、上記をクリックして下さい。)

と言うことで、残念ながら、これが上訴で認められる可能性は低いように思えます。

 しかし、近年の通達に沿って言えば、亡Bとの間における遺産分割協議書、又は乙の特別受益証明書等の添付があれば可能と言うことになると思われますが、この書面の証明書は、現在相続人が行うことになると思われます。
 官公庁では、今だに、便宜的な特別受益証明書の利用が見られるようなことを鑑みると、何か、もっと良い解決はないものかと思ってしまいます。
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質疑応答:数次相続の場合の登記申請手続について - g-note(Genmai雑記帳)

(一時期、nsrで話題になっていた件は、「平成26年6月10日弁論終結だったが弁論再開」だそうで、本件とは別の事件だったようです。こちらの結果は不明です。)