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最高裁(新):賃料増額請求事件の既判力

平成25(受)1649 建物賃料増額確認請求事件
平成26年9月25日 最一小判
裁判要旨抜き書き

 賃料増減額〜請求訴訟の確定判決の既判力は〜特定の期間の賃料額について確認を求めていると認められる特段の事情のない限り〜増減請求の〜時点の賃料額に係る判断について生ずる

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原審

〜賃料増減請求により〜確認を求める訴訟の訴訟物は〜特に期間を限定しない限り,形成権である賃料増減請求権の行使により〜増額〜減額がされた日から事実審の口頭弁論終結時までの期間の賃料額である〜

〜前件訴訟において,承継前被上告人は,基準時1から前件口頭弁論終結時までの賃料額の確認を求め,上告人X1は,基準時2から前件口頭弁論終結時まで(ただし,終期については基準時3と解する余地がある。)の賃料額の確認を求めたものと解される〜

〜本件訴訟において,上告人らが〜前件口頭弁論終結時以前の基準時3において増額された旨主張することは,前訴判決の既判力に抵触し許されない。

最高裁

(1)〜賃料増減請求権は形成権〜権利の行使〜当然に効果が生ずる〜その効果は,将来に向かって〜

〜賃料増減額確認請求訴訟においては,その前提である賃料増減請求の効果が生ずる時点より後の事情は,新たな賃料増減請求がされるといった特段の事情のない限り,直接的には結論に影響する余地はない〜

〜賃料増減額確認請求訴訟の請求の趣旨において,通常,特定の時点からの賃料額の確認を求めるものとされているのは,その前提である賃料増減請求の効果が生じたとする時点を特定する趣旨に止まると解され,終期が示されていないにもかかわらず,特定の期間の賃料額の確認を求める趣旨と解すべき必然性は認め難い。

賃料増減額確認請求訴訟の確定判決の既判力は,原告が特定の期間の賃料額について確認を求めていると認められる特段の事情のない限り,前提である賃料増減請求の効果が生じた時点の賃料額に係る判断について生ずる〜

(2) 本件〜前訴判決の既判力は,基準時1及び基準時2の各賃料額に係る判断について生じているにすぎない〜本件訴訟において本件賃料増額請求により基準時3において本件賃料が増額された旨を主張することは,前訴判決の既判力に抵触するものではない。