Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

時効取得による場合の義務者

 時効取得による所有権移転登記の本来の義務者は、誰でしょうか?
 通達や登記実例などが沢山出ていて、何となくわかってはいるつもりではあるのですが、充分整理できてないように思えたので考えてみました。

 いろいろ考えている内に、下記の記事を読んで、こう言うことかと思い始めました。
(あくまで、個人的な考えです。誤っていたらごめんなさい。責任はとりませんよー。)

1.起算時の名義人が死亡者であれば、少なくとも起算時までの相続登記を行う必要がある。
  実体法上の問題ではなく、要は、「登記原因時(起算時)までの経緯が登記簿に現れないと中間省略になる」と言うことからかと考えます。

2.原則として、登記申請時の名義人が義務者となる。
  要件事実の本に、(訴訟の)相手方は、現在の登記名義人だと書いてあったとように記憶しております。
  時効完成時(期間満了時)の名義人が誰であろうが、その後の相続登記がされていようがいまいが、実際の原因行為である「援用」の相手方が義務者であり、それは通常、現在の名義人だからだと思います。

3.従って、援用後に相続登記がされている場合は、義務者については「相続人からの申請」になる、と言うことになろうかと考えます。

 完成後に相続登記が有る場合と無い場合とを考えている内に、なんとなく混乱してしまいましたが、 登研624-p51香川先生の記事に
「このことは、不動産の時効取得は、その性質から原始取得であることによる。」と、当たり前のようなことが書いてあったのを見て、そうか、要は、本来、原始取得であるものを移転登記で行うからこうなるんだろうと考えてみると、少しスッキリしてきました。

参考
占有の相続と登記の当事者 - g-note(Genmai雑記帳)