Genmai雑記帳

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登記原因証明情報9・「物件変動原因の公示と〜(下)」の1・登研738

登記原因証明情報6・「物件変動原因の公示と〜(上)」登研736 - g-note(Genmai雑記帳)の続編である、「〜(下)」(登記研究H21・8月号(738))を斜め読みしてみました。
6 中間省略登記と登記原因証明情報
(1)中間省略登記の申請の却下

〜判決による〜
最判昭和35年04月21日(正当な利益がなければ無効を主張できない。)
最判昭和44年05月02日(〃)
中間省略登記請求権〜
最判昭和40年09月21日(三者の同意ある場合)

(4)他人の土地の売買と中間省略登記

他人の土地を自ら取得して自分の名義にしなければならないから〜あまり議論がされなくなった〜

 実際には、この後、他人物売買においても、必ずしも一旦、自分の名義にする必要はないとの解釈(判例ありとのこと)が有力になり、第三者のためにする契約との組み合わせで構成する方法が定着しつつあるのではないでしょうか?
(5)物権的合意と中間省略登記

〜その契約を解約して、全部元に戻して、そして甲から丙にまた売買契約をむすんで〜〜それだったらいいですよ〜。〜その場合には登記原因証明情報においてその前提となる甲乙間及び乙丙間の売買とその解除等の経緯が記載されている必要があります。

 これは物件変動の単なる前提事情と思われ、こうしたことまで記載を必要とすると言う考え方には大いに疑問を覚えます。

7 真正な登記名義の回復と登記原因証明情報

〜このように法律上どうしても認めざるを得ないときはやむを得ないということになります。〜
〜結局、認めるか否かは登記原因証明情報によって判断することになります。〜

〜(原因証明情報の記載から中間者の同時履行の抗弁権が害されるような場合は受理できないと考え〜それは原因証明情報の記載から)中間者Bの利益が害されるということが判明することによるものですが〜

 これだと、「法律上〜やむを得ないかどうかは」は原因証明情報によって、「登記官が判断する。」ことになります。登記官の実質的判断を求めるものであり、不適当のように思えます。

 登記官の書いたものにも、こうした傾向が見られ、上記中間者の不利益について、登記官からみた「真正な登記名義の回復」・「錯誤」 - g-note(Genmai雑記帳)などでは、更に一歩進めて、中間者の記名押印まで求めております。

 登記申請において、第三者の許可、同意を証する場合の範囲の解釈は確立されていると思っておりましたが、いわゆる「新中間省略登記」を認めるに当たって法務省が出した原因証明情報例を契機に、この「第三者」の範囲が拡大しつつあるのかもしれません。

 それが一概に悪いとは思いませんが、この要否自体を個々の登記官の判断で行うことは、結局は、実質的判断の範囲を拡げることになり、また、それによって、本人の処分権を制限する方向になりかねない点が気になります。

 本日は時間切れで、ここまでとします。