Genmai雑記帳

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最高裁:第2次相続における第1次相続の共有持分の扱い

平成17(許)14 遺産分割審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
平成17年10月11日 最三小決
裁判要旨抜き書き

 〜遺産分割が未了の間に相続人が死亡した場合に〜第2次被相続人が取得した第1次被相続人の遺産についての相続分に応じた共有持分権は,実体上の権利であり,第2次被相続人の遺産として遺産分割の対象となる

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

(1)抗告人と相手方らは,いずれも甲と乙の間の子〜
〜甲は平成7年〜に,乙は平成10年〜に〜死亡〜
〜甲の法定相続人は,乙,抗告人〜相手方ら〜
〜乙の法定相続人は,抗告人〜相手方ら

(2)〜抗告人及び相手方Y2には,甲との関係で〜特別受益〜。

(3)〜乙は〜不動産を〜遺言公正証書により〜相手方Xに相続させる旨の遺言〜単独で取得〜不動産以外に〜固有の財産を有していなかった。

(4)〜抗告人及び相手方Xは,相手方Y2は乙から特別受益

原審

(1)乙には,その相続開始時において,遺産分割の対象となる固有の財産はなく,甲の遺産に対する乙の相続分は,甲の遺産を取得することができるという抽象的な法的地位〜,遺産分割の対象となり得る具体的な財産権ではない〜
〜審判によって分割すべき乙の遺産は存在しない〜申立ては不適法〜

(2)〜乙の相続分は,上記(1)に記載した内容のものであるから,遺産分割手続を要せずして,乙の相続人である抗告人及び相手方らに民法900条所定の割合に応じて当然に承継される。〜
そして,遺産分割手続によらない承継には民法903条は適用されず,また,乙にはその相続開始時に遺産分割の対象となる固有の財産もないから,相手方Y2について主張されている乙からの特別受益を考慮する場面はない。

 したがって,甲の遺産については,甲との関係における抗告人及び相手方Y2の各特別受益を持ち戻して算定される抗告人及び相手方らの各具体的相続分に基づいて分割することとなる。

最高裁

 遺産は〜それが当然に分割されるものでないときは,相続開始から遺産分割までの間〜共有〜,〜性質は,基本的に〜249条以下〜
そうすると,共同相続人〜の共有持分権は,実体上の権利であって遺産分割の対象となる〜

本件における甲及び乙の各相続の経緯は,甲が死亡してその相続が開始し,次いで,甲の遺産の分割が未了の間に甲の相続人でもある乙が死亡してその相続が開始したというもの〜
〜そうすると,乙は,甲の相続の開始と同時に,甲の遺産について相続分に応じた共有持分権を取得しており,これは乙の遺産を構成するもの〜,これを乙の共同相続人である抗告人及び相手方らに分属させるには,遺産分割手続を経る必要があり〜特別受益〜贈与を受けた者があるときは,その持戻しをして〜具体的相続分を算定しなければならない。