Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

大阪高裁:使用貸借権の時効取得

平成19年(ネ)第2587号 土地明渡等請求控訴事件
平成20年8月29日 大阪高
要旨抜き書き

 〜使用収益が土地の借主としての権利の行使の意思に基づくものであることが客観的に表現されてい〜ない場合は〜時効取得が成立しない。

(抽出・加工あり。原文参照)

〜被控訴人は、〜昭和41年ころ〜からA1の農作業を手伝うようになり、遅くとも昭和49年4月1日からは、自らが主体となって〜耕作〜A1が死亡〜後も〜耕作〜現在に至〜。
〜分家〜長男A1〜4歳のころ夫婦が早逝〜伯父であるA2〔所有者〕に引き取られ、長じて後にA2の農業を手伝い、A2〜死亡後は〜〜被控訴人〜承継〜。

〜時効取得が成立するためには、
①土地の継続的な使用収益という外形的事実が存在〜
②その使用収益が土地の借主としての権利の行使の意思に基づくものであることが客観的に表現されている
ことを必要〜(最判昭和48年04月13日〜)。

客観的に表現〜といえるためには、使用借権が対人権であることから〜所有者(共有者)とのかかわりあい(使用貸借関係の存在を推認させるようなかかわりあい)が何らかの形で客観的に表現されていると評価されるべき事実の存在、例えば、賃借権の時効取得が問題になる場合の賃料の支払等に匹敵する事実の存在が必要と解される。

②〜について〜証拠はない。〜時効取得〜認められない。

A1及び被控訴人は〜60年以上もの間〜耕作〜、
〜共有者である控訴人外6名において〜異議を述べた形跡は見あたらない〜
〜2分の1の共有持分を有するC2は〜使用〜を承認ないし〜黙認〜、共有者の一部の者から共有物を占有使用することを承認された第三者に対して、その余の共有者は、当然には共有物の明渡しを請求することはできない〜(最判昭和63年05月20日〜)、〜
〜持分権利者3名〜持分合計3分の2)は、積極的に〜明渡を望んでいる様子は窺えない〜考慮〜
〜12分の1の持分を有するにすぎない控訴人が、他の〜権利者3名から〜少なくとも黙認されていると推認される被控訴人に対し、保存行為として〜明渡を求める必要性・緊急性が認められない〜権利の濫用〜

 内容とははずれますが、
判決文では「遅くとも年月日から」と言う起算日のとり方を良く目にしますが、登記原因を考えるときにも覚えておきたいことですね。