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最高裁:(相続)共有株式の議決権行使

東京高裁:共有株式の議決権行使と106条但書(この後、最高裁判決あり) - g-note(Genmai雑記帳)最高裁判決が出ていたのを見落としておりました。(寄居先生の記事で気がつきました。感謝)(2017-2-26加筆訂正)

平成25(受)650 株主総会決議取消請求事件
平成27年02月19日 最一小判(原審 東京高裁平成24(ネ)5048)
裁判要旨抜き書き

1 共有〜株式〜会社法106条本文の〜指定〜通知を欠いたまま〜権利が行使された場合〜,〜行使が民法の共有〜規定に従ったものでないときは,〜会社が同条ただし書の同意をしても〜行使は,適法〜ではない。

2 共有〜株式〜の議決権の行使は,当該〜行使をもって直ちに株式を処分〜又は株式の内容を変更〜など特段の事情のない限り,株式の管理に関する行為〜民法252条本文により〜持分の価格に従い,その過半数で決せられる。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

(1) 上告人は,特例有限〜。
〜2000株は,Aが保有〜,〜死亡〜Aの妹である被上告人及びBが法定相続〜各2分の1〜で共同相続〜〜遺産の分割は未了〜共有〜
(2) Bは〜総会〜において〜共有株式の全部について議決権の行使〜。〜
〜被上告人は〜招集通知を受けたが,上告人に対し〜出席できない旨及び〜総会を開催しても無効である旨を通知〜
(4)〜106条本文の〜権利を行使〜者の指定〜上告人に対する〜通知はされていなかったが,上告人は〜議決権行使に同意〜
2 〜被上告人が〜831条1項1号〜決議の取消し〜訴え〜

原審

〜106条ただし書〜,〜権利〜行使〜者の指定〜通知〜を欠いていても〜共有者間において〜権利の行使に関する協議が行われ,意思統一が図られている場合に限って〜会社の同意を要件に〜権利の行使を認めたもの〜〜上告人が〜同意していても〜行使は不適法〜〜各決議を取り消した。

最高裁

〜106条本文は〜共有〜株式の権利の行使の方法について,民法の共有に関する規定に対する「特別の定め」(同法264条ただし書)を設けたもの〜〜ただし書は〜会社が〜同意をした場合には,共有〜株式〜の権利の行使の方法に関する特別の定めである同条本文の規定の適用が排除されることを定めたもの〜

共有〜株式について〜106条本文の〜指定〜通知を欠いたまま〜権利〜行使された場合〜,〜行使が民法の共有〜規定に従ったものでないときは,〜会社が〜ただし書の同意をしても〜行使は,適法となるものではない〜

〜共有〜株式〜の議決権の行使は,当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し,〜株式の内容を変更することになるなど特段の事情のない限り,株式の管理〜行為として,民法252条本文〜,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で決せられ〜。

〜Bは〜準共有株式について2分の1の持分を有するにすぎず〜残余〜を有する被上告人が〜同意していないことは明らか〜民法の共有〜規定に従ったものではない〜上告人が〜同意しても,適法となるものではない。

会社法(抽出・加工あり。原文参照)

(共有者による権利の行使)
第106条 株式が〜共有〜ときは、共有者は〜権利行使者一人を定め〜会社に〜その者の氏名〜名称を通知しなければ〜株式についての権利を行使〜できない。ただし〜会社が〜権利行使〜に同意した場合は、この限りでない。

民法

(共有物の管理)
第252条 共有物の管理〜事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為〜

(準共有)
第264条 この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用〜。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない。

 判決の末尾には、「結論を同じくする原審の判断は,是認することができる。論旨は採用することができない。」とあります。

 高裁の判断は、「協議+意思統一」を要件としている(つまり「全員一致」とも読めますが、はっきりしません。)に対して、本判決は、指定・通知は民法に対する特則だとして、それがなくても、あくまで民法どおり過半数でなければ会社が認めても有効にならないとした、と言うことになりましょうか?

 上記のとおり、民法252条には「〜過半数で決する。」とあります。
本事例は2分の1ですので上記のとおりとなるわけですが、では、過半数を有する場合は、高裁判断と異なり、「協議」も不要と考えて良いのでしょうか?

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