Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:農地法5条許可を受け会社名義で取得

昭和48(オ)899 土地建物所有権確認等請求
昭和52年2月17日 最一小判
裁判要旨抜き書き

 〜売買契約締結後に買主が右農地を宅地化した場合であつても、買主が〜事実上支配する会社の名義で〜買い受けて同会社の名義で農地法五条の許可を受け〜建物を建築してこれを会社の営業所に使用し〜恒久的に宅地化されている〜ときには〜宅地化により〜許可を経ることなしに、完全にその効力を生ずる。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

〜被上告人は〜訴外Dから、
当時被上告人が株式の大部分を所有し経営を事実上支配していた上告会社の名義で買い受け、
農地法五条の許可もそのころ上告会社名義で申請し、〜移転登記も〜会社名義で経由した、
登記簿上の地目もすでに宅地に変更されている、
被上告人は〜建物を建築し〜上告会社の営業所として使用している、
〜建物についても〜上告会社名義で保存登記を経由した、

〜譲受人を上告会社名義とする農地法五条の許可が〜被上告人に対してその効力を生ずるものではなく、
右許可があつてもなお被上告人は本件土地の所有権を取得することができない〜〜が、
上告会社が前記Dから〜所有権を取得すべき実体上の事由があることは原審の認定しないところ
〜上告会社もまた右許可により本件土地の所有権を取得するものではない。〜

被上告人が〜株式の大部分を所有し経営を事実上支配していた上告会社の名義で同法五条の許可を受け、
〜建物を建築してこれを右許可を受けた名義人である上告会社の営業所に使用し、
〜すでに恒久的に宅地化されている等、
前示のような事実関係のもとにおいては、
右宅地化により、本件売買は、知事の許可を経ることなしに、完全にその効力を生ずるに至つたものと解する

★非農地化と許可(柳教授) - g-note(Genmai雑記帳)で引用されていましたので読んでみました。
柳先生の解説によると、おそらくは、
被上告人が、自己名義では許可を得られないので、
形式上、会社名義で売買契約を締結し、これにより5条許可を取得して会社名義に所有権移転登記を行った後、
一連の被上告人による非農地化のあと、被上告人自身が、会社に対して自己の所有であるということを会社に主張をした、と言うことのようです。
【名城大学・柳勝司教授の論説】61-4-64

5条許可が会社名義である以上、被上告人が、これにより所有権を取得することはない一方、
会社自身もまた、実体法上、売買してない以上所有権を取得しない。
しかし、非農地化したことにより、実体上の買主である被上告人は所有権をできる、と言うことでしょうか。

計画的な農地法違反行為であり、悪質とも思え、このような場合にさえも、農地法の違反と実体法上の所有権の帰属は別、として考えるならば、
最高裁は、既に、「買主の帰責性」は問題にしてないようにさえ思えます。

しかし、上記からすると、被上告人が求めたのは、「真正な登記名義の回復」と言うことになるのでしょうか。