Genmai雑記帳

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最高裁(新):過払請求、特定調停の有効性

平成25(受)1989 不当利得返還請求事件
平成27年09月15日 最三小判
裁判要旨抜き書き

 過払金が発生している〜金消取引の〜調停であって〜貸金業者に対する残債務の存在を認める旨の確認条項及び〜清算条項を含むものが公序良俗に反するものとはいえないとされた事例

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(抽出・加工あり。原文参照)

〜被上告人は〜平成14年4月〜までの間〜各金員を借り入れ〜支払った〜
〜平成14年6月〜特定調停〜成立〜。〜「申立ての表示」欄には,「〜平成10年3月〜締結の〜契約に基づいて〜借り受けた〜の残債務額の確定と債務支払方法の協定を求める申立て」との記載〜

  • ア 〜合計44万4467円の支払義務のあることを認める〜。
  • イ 〜分割払で支払う。
  • ウ 〜清算条項〜。

〜A取引全体の〜借受け〜返済を〜引き直して計算すると〜調停が成立した時点で,過払金234万9614円〜法定利息2万7621円が発生していた。

原審

〜調停が成立した時点で過払金〜円〜法定利息が生じていたにもかかわらず,本件確認条項は,被上告人がAに対する借受金の残元利金合計〜円の支払義務を認める内容のもの〜,利息制限法に違反〜,公序良俗に反し,無効〜
〜本件確認条項を前提とした本件清算条項のみを有効とするのは相当でない〜本件調停は,全体として公序良俗に反し,無効〜

最高裁

〜特定調停〜は,支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため〜金銭債務に係る利害関係の調整を促進することを目的とするもの〜特定債務者の〜金銭債権の有無や〜内容を確定等することを当然には予定していない〜

〜調停の目的は〜特定の期間内に〜借り受けた〜債務であると文言上明記され〜確認条項及び〜清算条項も,上記調停の目的を前提とするもの〜
〜したがって,上記各条項の対象である〜権利義務関係も〜上記借受金等の債務に限られ,A取引によって生ずる〜過払金返還請求権等の債権はこれに含まれない〜
〜そして〜確認条項は,上記借受金等の残債務として,上記特定の期間内の借受け及び〜返済を利息制限法所定の制限利率に引き直して計算した〜支払義務を確認する内容〜それ自体が同法に違反するものとはいえない。〜

清算条項に,A取引全体によって生ずる〜過払金返還請求権等の債権を特に対象とする旨の文言はない〜同債権が消滅等するとはいえない。
〜本件確認条項及び本件清算条項を含む本件調停が,全体として公序良俗に反するものということはできない。

〜A取引が終了した平成14年6月〜までに発生した過払金返還請求権等は本件清算条項等によって消滅したとはいえないが,同日以降の支払は法律上の原因がないとはいえず,過払金返還請求権等が発生〜とはいえない。

〜そうすると,Aとの継続的な金銭消費貸借取引に係る被上告人の請求は,A取引に係る過払金234万9614円,平成24年5月31日までに発生した法定利息119万8107円及び上記過払金に対する同年6月1日から支払済みまで年5分の割合による法定利息の支払を求める限度で認容し,その余は棄却すべき〜

 調停後も過払請求できると言う意味合いもあるのでしょうが、論理として、とても面白い判決だと思いました。(先に町村先生の記事を読んでいたからかもしれませんが。町村先生の記事については、本日は時間切れで省略。)