Genmai雑記帳

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最高裁:農地の賃借権の時効取得

平成14(受)1459 土地明渡請求事件
平成16年07月13日 最三小判
裁判要旨抜き書き

時効による農地の賃借権の取得に〜は,農地法3条の規定の適用はない。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

〜E〜は,遅くとも昭和35年に,Dと〜土地の賃貸借契約を締結〜。〜以降,賃料を支払い〜耕作〜占有〜。
Eは,平成元年〜死亡〜。〜その妻は,平成5年〜死亡〜。平成8年〜E及びその妻の相続人間で遺産分割の調停〜被上告人が〜賃借権を取得〜

〜上告人は〜賃貸借契約は,農地法3条1項所定の許可を受けないでしたもの〜効力を生じない旨を主張〜
〜被上告人は,時効による賃借権の取得〜は〜許可は不要〜を主張〜本件訴訟において〜時効を援用〜。

〜他人の土地の継続的な用益という外形的事実が存在〜,
かつ,〜賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現〜,
〜163条〜土地賃借権を時効〜取得〜できる〜(〜昭和42年(オ)954・昭和43年10月8日三小判〜。

農地法3条〜,趣旨は,同法の目的(1条)からみて望ましくない不耕作目的の農地の取得等の権利の移転〜設定を規制〜耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図ろうとするもの〜
〜耕作するなどして農地を継続的に占有している者につき〜賃借権の時効取得を認めるための上記の要件が満たされた場合において,その者の継続的な占有を保護すべきものとして賃借権の時効取得を認めることは〜3条〜規制の趣旨に反するものではない〜
時効により賃借権を取得する場合は含まれないと解す〜。

時効による農地の賃借権の取得については,農地法3条の規定の適用はなく〜許可がない場合であっても,賃借権の時効取得が認められる〜。

月報司法書士H27.10(524)「農地の権利移動等の許可制度について」(末光裕一司法書士)で引用されていましたので読んでみました。

 所有権については、最高裁:農地の時効取得と許可の要否 - g-note(Genmai雑記帳)があり、大変分かりやすいのですが・・・・・
 賃借権についても当然同じかと思ったのですが、敢えて、こうした主張や判例があると言うことは、賃借権の時効取得は、単に「原始取得」で説明しきれないことろがあるからでしょうか???

こちらの判例では、上記所有権の判例と違って「3条の趣旨に反しない」としていたことが意外です。

5条の場合だって当然に同じだと思っていたのですが、別の理由付けが必要でしょうか?(たとえば(違法)転用により「非農地化後」、時効期間が経過した、などと???)(そう言えば、農地法の許可について(名城大学・柳勝司教授) - g-note(Genmai雑記帳)にも記載があったと思い出しましたので、後日、読んでみることにしたいと思います。

末光先生に関する記事
「Q&A 道路・通路に関する法律と実務」・「Q&A 農地・森林に関する法律と実務」 - g-note(Genmai雑記帳)
所有権移転登記と農地法第3条の許可 - g-note(Genmai雑記帳)