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最高裁:根抵当権・保証協会の保証委託取引と保証債権

平成18(受)597 根抵当権設定登記抹消登記手続等請求事件
平成19年07月05日 最一小判
裁判要旨抜き書き

 信用保証協会を債権者〜債権の範囲を保証委託取引〜として設定された根抵当権の被担保債権に〜保証協会の根抵当債務者に対する保証債権は含まれない。

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(抽出・加工あり。原文参照)

(1) 保証協会は,平成5年〜A(主債務者)と〜同人が〜B銀行から600万円を借り入れるにつき信用保証委託契約を締結〜Aの〜債務を保証〜
Cは〜保証協会に対し,Aが〜信用保証委託契約に基づき保証協会に〜負担する一切の債務を連帯保証〜
(2) Cは,平成7年〜D金庫から1300万円を借り入れるにつき,保証協会と〜信用保証委託契約を締結〜
〜当時所有していた〜建物〜に〜根抵当権〜設定〜「保証委託取引」とする〜登記〜
(3) 保証協会は、Aとの〜保証委託契約に基づき,平成10年〜,B銀行に〜保証債務の履行〜Aに対し〜求償債権〜を取得〜
(4) Cは,平成13年〜までに〜D金庫〜の借入金〜をすべて弁済〜
(5) Xは,売買により〜建物の所有権を取得〜根抵当権の被担保債権は存在しないとして,保証協会に対し〜抹消〜を求めた事案〜

原審

〜保証協会との間で〜「保証委託取引による一切の債権」〜とする〜設定契約〜の合理的意思にかんがみると〜法定された信用保証協会の業務に関する〜当事者間の取引から生じた一切の債権が含まれる〜
〜保証協会が,根抵当債務者との間において,第三者の〜保証協会に対する信用保証委託契約に基づく債務を主債務とする保証契約を締結することは,信用保証協会法20条1項〜「これに付随する業務」に当たる〜
〜第三者の保証協会に対する保証委託契約に基づく債務を根抵当債務者が保証した場合の保証債権も含まれる〜

最高裁

398条の2第2項は,根抵当権の〜債権の範囲は債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して定めなければならない旨規定〜
〜前記事実関係〜本件根抵当権は〜債権の範囲を〜Cとの「保証委託取引」によって生ずるものに限定するものであることが明らか〜

保証協会と根抵当債務者との保証委託取引とは〜保証協会が根抵当債務者の依頼を受けて同人を主債務者とする債務について保証人となる〜こと,それに伴って〜保証協会が根抵当債務者に対して委託を受けた保証人として求償権を取得すること等を主たる内容とする取引を指す〜

根抵当債務者でない者が〜保証協会に対して負担する債務についての根抵当債務者の保証債務は,上記取引とは関係のないもの〜
〜同項の〜「一定の種類の取引」は〜具体的範囲を画すべき基準として三者に対する関係においても明確なものであることを要する
〜「保証委託取引」〜表示が,法定された信用保証協会の業務に関するすべての取引を意味するものと解することもできない。

被担保債権の範囲を保証委託取引により生ずる債権として設定された根抵当権の被担保債権に,信用保証協会の根抵当債務者に対する保証債権は含まれない〜。

2008-04-26
田舎弁護士の訟廷日誌