Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:使用貸借、相当期間経過による終了

昭和44(オ)375 建物収去土地明渡請求
昭和45年10月16日 最二小判
裁判要旨

〜使用貸借は〜無償〜関係〜目的が終了しないかぎり〜終了しないと解すべきではなく〜相当の期間が経過〜返還請求権を認めるべき
〜しかし〜期間の経過が相当であるかは〜双方の諸事情をも比較衡量して判断すべき〜

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(抽出・加工あり。原文参照)

 〜昭和24年初頃〜礼拝堂建築のための用地として、無償で期限の定めなく、貸与する旨の使用貸借が成立〜、〜礼拝堂〜を建築〜、昭和33年〜牧師館〜を建築〜昭和39年7月〜到達の郵便をもつて〜解除〜意思表示〜

原判決

〜返還の時期を定めないものの〜礼拝堂を建築所有〜を目的として成立したものであるが〜礼拝堂所有の〜使用を終つたときか、〜使用〜に足るべき期間を経過〜でなければ〜返還を請求〜できないと解すべきではなく〜
〜双方の事情を考慮したうえ〜相当の期間を経過したと認められる場合には、目的に従つた使用収益をなすに足るべき期間を経過したものとして〜返還を請求〜できると解するのが相当〜
〜すでに15年8ケ月を経過〜モータープール拡張のため〜自ら使用〜を是非必要〜になつたこと、昭和35年頃から〜明渡しを求めるとともに〜代替地の提供、斡旋にも尽力し〜建物の移転費〜も〜一部を負担する意向を示していたが、〜行詰つたこと〜これらの諸事情を考慮するならば〜すでに〜相当の期間を経過していたものと認めるのが相当〜昭和39年8月〜かぎり終了〜。

最高裁

〜使用貸借は〜教会の事業目的である伝道、礼拝等のための礼拝堂を建築所有〜を目的として成立〜であるが、本来使用貸借は〜無償の法律関係であることにかんがみると〜礼拝堂が朽廃〜か〜事業目的が終了しないかぎり〜終了しないと解すべきではなく〜
〜相当の期間が経過した場合には〜返還請求権を認めるべき〜原判決の〜とおり〜

〜しかし〜期間の経過が相当であるか否かは、単に経過した年月のみに〜て判断することなく〜貸借されるに至つた特殊な事情〜後の当事者間の人的つながり〜使用の目的、方法、程度、被上告人の〜土地の使用を必要とする緊要度など双方の諸事情をも比較衡量して判断すべき〜

〜15年8ケ月を経過〜一応相当な期間と解しえないことはない。〜
しかし〜昭和33年〜〜牧師館を建築〜所有〜。
〜建築にあたり〜異議を述べるなど〜建築を阻止する態度を示していなかつたとすれば(〜かえつて〜建築を承諾していた事実が窺われる。)〜昭和33年〜使用継続〜を〜了解し合つた〜とみることもできないわけではなく(〜)、〜その後〜請求までに数年しか経過していないことを考慮すると、この事実は〜返還請求の許否の判断に重要な影響を与える〜

〜使用継続〜の〜了解が肯定されるときは〜さらにその後に使用継続を否定しうる特別な事情の生じたことが認められないかぎり〜解約しうる程度に相当期間が経過したとは〜断定しえないから〜

〜自ら使用〜を是非必要と〜なつたという〜それが昭和33年〜頃予見しえない事情であつたのか、〜
〜明渡しを得なければ、地形上〜利用に重大な支障を生ずる状況にあるのか〜
〜代替地の提供斡旋にも尽力したという〜けれども〜教会の側において〜応じなかつたことに合理的理由がなく、むげにこれを拒否したものであるか〜〜すなわち使用貸借の当事者間に要請されるべき信義にもとるような忘恩的行為があつたのか〜
〜についても明確ではなく〜特別な事情が生じたとはいいがたい〜

〜要するに〜牧師館の建築にあたつての〜承諾の有無〜当時における〜使用貸借の継続についての相互了解の程度、内容いかんが〜返還請求の許否の判断に重大な影響がある〜原判決は〜何ら判示することなく〜解約の意思表示〜終了を肯認〜、審理不尽、理由不備〜。

亡くなった父が貸していた土地を返してほしい(ニューズレター【不動産業界】vol.12掲載) | いいねを押したい弁護士ブログで引用されていましたので読んでみました。

最高裁:使用貸借・使用収益に足りるべき期間 - g-note(Genmai雑記帳)