Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:使用貸借・使用収益に足りるべき期間

平成10(オ)513 建物収去土地明渡
平成11年02月25日 最一小判
裁判要旨抜き書き

 木造建物の所有を目的〜土地の使用貸借について〜38年8カ月を経過〜人的つながりの状況が著しく変化しているという事実関係の下では〜右建物以外に居住する所がなく〜貸主には右〜必要等特別の事情が生じていないというだけでは、使用収益〜に足りるべき期間の経過を否定〜できない

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

1 昭和33年〜上告人の代表取締役はD〜、Dの長男〜E及び二男の被上告人は、いずれも上告人の取締役〜。
2 Dは〜建物を建築〜被上告人に取得させ〜敷地として〜無償で使用させた。〜使用貸借契約が黙示に締結〜
 その後、D夫婦と被上告人は、本件建物で同居〜、Dは、昭和47年〜死亡〜。
3 Dの死後、上告人の経営をめぐってEと被上告人の利害が対立し〜総会決議不存在確認訴訟〜
4 被上告人は、平成4年〜上告人の取締役の地位を喪失〜。

5 本件建物は、いまだ朽廃には至っていない。
6 Eは、上告人の所有地のうち〜隣接〜部分に自宅〜を建築している〜、被上告人には、本件建物以外に居住すべきところがない。
7 上告人には、本件土地の使用を必要とする特別の事情が生じてはいない。

原審

〜5から7までの事情〜本件使用貸借は、いまだ〜597条2項ただし書〜の使用収益をするのに足りるべき期間を経過したものとはいえない〜。

最高裁

 〜使用収益〜に足りるべき期間が経過したかどうかは、経過した年月、土地が無償で貸借されるに至った特殊な事情〜後の当事者間の人的つながり、土地使用の目的、方法、程度、貸主の土地使用を必要とする緊要度など双方の諸事情を比較衡量して判断すべき〜(昭和44年(オ)375号45年10月16日二小判〜)。

〜約38年8箇月の長年月を経過〜この間に〜被上告人と同居していたDは死亡〜その後、上告人の経営をめぐってEと被上告人の利害が対立〜被上告人は、上告人の取締役の地位を失い〜貸借成立と比べて貸主〜と借主〜の間の人的つながりの状況は著しく変化〜、これらは、使用収益〜に足りるべき期間の経過を肯定するのに役立つ事情というべき〜。

他方、原判決〜事情のうち、〜建物が〜朽廃していないことは考慮すべき事情で〜ない。〜
〜前記長年月の経過等の事情が認められる本件においては〜本件建物以外に居住するところがなく、また、上告人には〜土地を使用する必要特別の事情が生じていないというだけでは使用収益をするのに足りるべき期間の経過を否定する事情としては不十分〜。

〜その他の事情を認定〜なく、〜使用収益〜に足りるべき期間の経過を否定した原審の判断は〜誤ったもの〜。

亡くなった父が貸していた土地を返してほしい(ニューズレター【不動産業界】vol.12掲載) | いいねを押したい弁護士ブログにありましたので読んでみました。