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最高裁(新):被告のみが控訴した場合と不利益変更禁止

平成26(受)2146 建物明渡請求事件
平成27年11月30日 最一小判
裁判要旨抜き書き

1 訴訟上の和解が成立〜訴訟〜終了〜を宣言する第1審判決に対し被告のみが控訴した場合と不利益変更禁止の原則

2(上記の)場合に〜控訴審が〜和解が無効であり,かつ,請求の一部に理由があるとして自判〜するときの判決主文

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(抽出・加工あり。原文参照)

(1)被上告人は〜貸室〜の所有権に基づく明渡し〜賃料相当損害金の支払を求めて〜訴訟を提起〜。
(2)〜訴訟上の和解〜が成立〜,上告人は〜和解の無効を主張して既に終了した訴訟手続の続行を求めて期日指定の申立て〜。
(3)第1審は,本件訴訟は〜和解が成立〜終了した旨の終局判決〜。
(4)〜上告人のみが控訴し,被上告人は控訴も附帯控訴もしなかった。

原審

〜和解は無効〜被上告人の請求は一部理由がある〜第1審判決を取り消し〜和解が無効であることを確認し,上告人に対して,被上告人から40万円の支払を受けるのと引換えに〜明け渡すべきこと〜賃料相当損害金を支払うべきことを命じ〜その余〜を〜棄却〜。

最高裁

(1)訴訟上の和解の無効を主張する者は〜和解が無効であることの確認を求める訴えを提起することができると解される〜
〜本件〜は,いずれの当事者も本件和解が無効であることの確認は求めていない。〜にもかかわらず,主文において本件和解が無効であることを確認した原判決には,当事者が申し立てていない事項について判決をした違法があり〜。

(2)また〜和解〜成立〜によって訴訟が終了したことを宣言する終局判決〜は,訴訟が終了したことだけを既判力をもって確定する訴訟判決〜
〜これと比較すると,原告の請求の一部を認容する本案判決は〜和解の内容にかかわらず,形式的には被告に〜より不利益〜と解される。〜

したがって,和解による訴訟終了判決である第1審判決に対し,被告のみが控訴し原告が控訴も附帯控訴もしなかった場合に〜控訴審が第1審判決を取り消した上原告の請求の一部を認容する本案判決をすることは,不利益変更禁止の原則に違反して許されない〜

そして,和解による訴訟終了判決に対する控訴の一部のみを棄却することは,和解が対象とした請求の全部について本来生ずべき訴訟終了の効果をその一部についてだけ生じさせることになり,相当でない〜

上記の場合に〜控訴審が訴訟上の和解が無効であり,かつ,第1審に差し戻すことなく請求の一部に理由があるとして自判をしようとするときには,控訴の全部を棄却するほかない〜

〜原判決の処理〜法令の違反〜破棄〜。〜上告人の控訴を棄却する〜。

 判決文だけ読むと、それなりにわかったような気になりますが、町村先生の解説を読むと、「やっぱ民訴は難しい。」と思ってしまいます。
arret:民訴教材・和解による訴訟終了宣言に被告が控訴、請求一部認容はできるのか?: Matimulog