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高松高裁:共同相続人による時効援用の効果

平成16年12月17日 高松高裁
平成16年(ネ)第285号、平成16年(ネ)第341号
遺産確認請求控訴事件、同附帯控訴事件
要旨抜き書き

 被相続人の占有〜取得時効が完成している場合、共同相続人は時効の完成により利益を受ける者〜、その者は自己が直接に受けるべき利益の存する限度で〜援用できる〜、自己の相続分の限度においてしか〜援用〜できない〜

原文の内、時効についての判断の部分
(抽出・加工あり。原文参照)

ア 占有者は、反証のない限り、所有の意思で占有するものと推定される(186条1項)

〜占有者がその性質上所有の意思のないものとされる権原(他主占有権原)に基づき占有を取得した事実が証明されるか、又は外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったものと解される事情(他主占有事情)が証明されて初めて、その所有の意思を否定することができる〜

〜他主占有権原について〜他主占有事情について〜裏付けるに足りる証拠はなく〜Aは所有の意思をもって〜占有〜と認められる。

占有者は、反証のない限り、平穏かつ公然に占有するものと推定される(186条1項)

〜覆すに足りる事実は認められない。〜Aは平穏かつ公然に〜占有していたものと認められる。

〜時効の援用〜検討〜
(イ) 控訴人らは〜自ら占有したことのない被控訴人らには時効援用の資格がないと主張〜

被控訴人らは〜土地上にA所有の〜建物を相続して、Aの本件土地の占有を引き継ぎ、本件土地を占有〜控訴人らの主張は理由がない。

(ウ)〜Aの占有により取得時効が完成〜被控訴人らは、Aの共同相続人(〜各4分の1)4名の内2名〜時効の完成により利益を受ける者〜自己が直接に受けるべき利益の存する限度で〜援用〜できる〜
〜各4分の1の限度においてのみ取得時効を援用〜できる〜(〜三小平成13年07月10日)。
〜被控訴人ら〜原審口頭弁論期日において〜援用〜意思表示〜
〜被控訴人らは〜相続分の限度である各4分の1の割合により〜土地の取得時効を援用〜できる

(エ)その場合、被控訴人らが取得時効を援用した〜各4分の1の持分は、時効の遡及効により、占有開始時点(昭和28年〜日)でAの所有となり、〜Aの遺産となる
 〜被控訴人らの〜請求〜は、Aに対して、〜土地の2分の1の持分権につき、昭和28年〜日時効取得を原因とする所有権一部移転登記手続をすることを求める限度で理由がある。

 要件事実マニュアルは、この判例について「援用後は、その相続分の範囲内で共同相続人全員の共有となる」とあり、おそらく、上記の「各4分の1が〜Aの所有になる。」と言う、わかりにくい説明のことではないかと思うのですが、私などには難しすぎてよく理解力できません。

 「元々Aの所有であったと言うことを、各持分の範囲で主張できる。」などと言うような意味でしょうか?

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