Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:相当賃料額の供託・従前賃料を下回るとき

平成2(オ)1444 建物収去土地明渡
平成5年02月18日 最一小判
裁判要旨抜き書き

 賃借人の供託〜額が、後日裁判で確認された額の約5・3分の1ないし約3・6分の1で〜隣地〜に比べはるかに低額であることを知っていた場合〜も〜従前〜額を下回らず、かつ、〜主観的に相当〜額であるときは〜公租公課〜を下回ることを知っていたなどの事情のない限り、借地法12条2項〜相当賃料〜。

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(抽出・加工あり。原文参照)

2 被上告人は〜昭和57年9月〜ころ〜10月〜から月額3万6052円に、〜61年12月〜62年1月〜から〜4万8821円に、それぞれ増額〜意思表示〜、〜確認を求める訴訟〜提起〜催告〜解除〜意思表示〜

4 上告人は〜従前の月額6760円の賃料を提供〜受領〜拒絶〜6月分まで〜6760円、〜59年7月分から〜62年6月分まで〜1万140円、〜62年7月〜に〜7月分から〜12月分まで〜2万3000円を、〜相当〜賃料として供託〜

5 昭和62年12月〜賃科訴訟〜57年10月〜から〜61年12月〜までは〜3万6052円〜62年1月〜以降は〜4万6000円であることを確認する旨の判決〜
〜昭和63年3月〜確認された〜62年6月〜までの〜賃料と〜供託〜との差額〜法定の年1割の割合による利息を支払って清算〜合意〜支払った。

6 被上告人は〜ほかにも、昭和47年1月から〜2万2533円に、〜53年1月から〜2万6288円に、〜55年7月から〜3万1546円に各増額する旨の意思表示〜
〜上告人は〜隣地で被上告人が他の者に賃貸〜について、昭和45年以降数度〜合意の上で〜増額〜との大要を知っていた。

原審

1 〜12条2項〜「相当ト認ムル」賃料〜客観的〜適正〜賃料をいうものではなく、賃借人が自ら相当と認める賃料をいう〜、〜賃借人の恣意を許す趣旨ではなく、賃借人の供託〜額が適正な賃料額と余りにもかけ離れている場合には、特段の事情のない限り、債務の本旨に従った履行とはいえず、さらに、そのような供託が長期に〜漫然と続けられている場合〜もはや〜信頼関係は破壊されたとみるべき〜
2 〜上告人〜供託〜賃料は〜訴訟で確認〜賃料の約5・3分の1ないし約3・6分の1と著しく低く、〜隣地〜に比してもはるかに低額であることを知っていた〜他に特段の事情もない〜供託は債務の本旨に従った履行と認めることはできず〜数回にわたる〜増額請求にもかかわらず、約12年余の間にわたり当初と同一の月額6760円の賃料を漫然と供託してきた事実を併せ考えると〜信頼関係が破壊〜〜契約は昭和62年7月〜の経過をもって賃料不払を理由とする解除〜終了〜

最高裁

〜12条2項は〜増額請求があった場合に〜協議が調わないとき〜裁判が確定〜まで〜従前〜額を下回らず、主観的に相当と認める額〜を支払っていれば足りるものとし〜公権的に確定される以前に〜債務の不履行〜解除される危険を免れさせるとともに〜裁判が確定したときには不足額に年1割の利息〜として〜利益の均衡を図った規定〜。

〜催告〜以前に、〜57年10月〜から〜62年6月〜までの賃料を供託〜〜額を争いながらも、従前賃料額に固執することなく〜59年7月〜からは〜1万140円に増額〜、いずれも従前賃料額を下回るものではなく、かつ〜主観的に相当〜額であった〜〜
〜賃料債務の不履行はなく〜解除の意思表示〜効力がない〜

〜もっとも〜固定資産税〜公租公課の額を知りながら〜下回る額を支払い〜供託〜ような場合〜その額は著しく不相当〜、〜債務の本旨〜履行ということはできない〜、
〜供託賃料額が後日〜訴訟で確認された賃料額の約5・3分の1ないし約3・6分の1であるとしても〜公租公課の額を下回る〜事実は〜認定していない〜、いまだ著しく不相当〜ということはできない。〜
〜また、上告人〜供託賃料額が〜隣地〜に比べはるかに低額〜を知っていたとしても〜主観的に相当〜額であった〜これをもって〜解除の意思表示を有効〜とする余地もない。

研修:「借地借家法」(山内鉄夫先生)で引用されていましたので読んでみました。
研修:「借地借家法」・引用判例等