最高裁:賃借人の営業上必要な修繕特約

昭和26(オ)775 家屋明渡請求
昭和29年06月25日 最二小判
裁判要旨抜き書き

 映画館用建物〜の賃貸借における「雨漏等の修繕は賃貸人において〜なすも、営業上必要なる修繕は賃借人において〜なす〜」との契約条項は、単に賃貸人の修繕義務の限界を定めただけでなく、賃借人に〜営業上必要な範囲の修繕の義務を負担させた趣旨と解し得られないことはない。

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(抽出・加工あり。原文参照)
原審

〜「雨漏等の修繕は賃貸人〜なすも、営業上必要なる修繕は賃借人〜なす〜」との条項は、単に賃貸人〜の修繕義務の限界を定めたもの〜、賃借人〜にその営業上必要な修繕の義務を負わしめた趣旨のものではない〜
(1)賃借人の営業上必要な修繕を賃借人の〜義務として負担させること〜自体道理に合わない〜
(2)〜賃料以外に減価消却金をも支払う旨の条項がある〜その上更に〜修繕義務〜も〜負担させること〜通常人間の取引では考えられない〜

最高裁

〜映画館用建物〜備付の長椅子その他の設備一切をも貸借の目的としたもの〜、〜使用に伴い破損等を生じた場合〜適切な修繕を加えて能う限り原状の維持と耐用年数の延長とをはかることは〜賃貸人の利益とするところ〜右修繕が同時に賃借人の営業にとり必要な範囲に属するものであつても〜賃借人の賃貸人に対する義務として約さしめることは、何ら道理に合わないこと〜ではない。

〜減価消却金とはいかなる趣旨のものか〜原判決は何ら説示するところがない〜賃料の外〜支払う旨の条項があるからといつて、なぜ修繕義務を賃借人に負担させることが通常人間の取引においては考えられないのか、その理由を首肯せしめるに足らない。要するに原判決は、理由をつくさずして〜主張を排斥した違法ある〜。

 〜更新拒絶の事由として〜自ら本件建物により映画館を経営して収入をはからなければならない生活上の必要がある〜、及び被上告人Bの経営方法が利益追及にのみ急で観客の保健衛生等の観点から寒心にたえないので〜自ら経営に当り快適な映画館施設を市民に提供したい念願〜を〜主張〜

〜しかるに原判決は〜右事実の有無につき判断を示すことなく、ただ、上告人の〜請求は名を権利の行使にかりてその実不当に自己の利益をむさぼらんとする底意〜と断じ、しかも〜断ずるにつき一つも証拠を示すところがなく、かえつて上告人が一審判決の仮執行により〜占有を回復し現に〜使用している事実をあげて〜不当な意図の証左〜との甚しく正鵠を失した判示をなした〜。

〜原判決は更新拒絶の正当事由〜に関する〜重要な主張につき判断を遺脱し、証拠にもとずかず〜事実を認定〜理由不備の違法〜とうてい破棄を免れ〜ない。

研修:「借地借家法」(山内鉄夫先生)で引用されていましたので読んでみました。
研修:「借地借家法」・引用判例等