大阪高裁:相続放棄と葬儀費用・仏壇、墓石の購入

(2010-10-14分の改記分)

平成14(ラ)408 相続放棄申述却下審判に対する抗告事件
平成14年07月03日 大阪高
判示事項抜き書き

 〜被相続人名義の預金を解約し墓石購入費に充てた行為が〜「相続財産の処分」に当たるとして、相続放棄の申述を却下した審判〜断定できないとして〜申述を受理した事例

(抽出・加工あり。原文参照)

〜昭和61年〜被相続人は〜信金から保証債務の返済を迫られ、昭和62年2月26日ころ自宅を〜売却して〜1000万円を〜返済〜
信金は〜「合計〜の一部返還金として〜受け取った。信金は〜残債権について〜請求しない。」旨を記載した代位弁済受取証を交付〜

(3)〜平成10年4月〜死亡〜香典〜144万円〜〜郵便貯金〜解約〜302万〜円〜
 〜葬儀費用等〜273万〜円を支出〜、〜仏壇を92万〜円で購入〜〜墓石を127万〜円で購入〜〜不足分46万円〜は抗告人らが負担〜

(4)〜平成13年10月〜保証協会から〜5941万〜円〜の残高通知書が送付〜
(5)〜平成13年11月〜相続放棄の申述〜

原審

〜貯金を解約〜墓石購入費〜は相続財産を処分〜単純承認〜相続放棄の申述を却下〜

高裁
(1)〜貯金を解約〜墓石購入費〜が法定単純承認〜民法921条1号〜に当たるかどうか〜

ア 葬儀は、人生最後の儀式として執り行われるものであり、社会的儀式として必要性が高いものである。そして、その時期を予想することは困難であり、葬儀を執り行うためには、必ず相当額の支出を伴うものである。

 これらの点から〜相続財産があるときは、それを〜葬儀費用に充当しても社会的見地から不当なものとはいえない。
〜相続財産があるにもかかわらず〜使用〜が許されず、相続人らに資力がないため〜葬儀を〜できないとすれば、むしろ非常識な結果〜

相続財産から葬儀費用を支出する行為は、法定単純承認たる「相続財産の処分」(民法921条1号)には当たらない〜。

イ 〜仏壇や墓石を購入〜、一家の中心である夫〜父親が死亡〜仏壇がなければ〜購入して死者をまつり、〜墓石がない場合に〜建立して死者を弔うことも我が国の通常の慣例〜預貯金等の〜財産が残された場合〜相続債務があることが分からない場合に、遺族がこれを利用することも自然な行動〜
 〜購入〜仏壇〜墓石は、いずれも社会的にみて不相当に高額のものとも断定できない上、〜香典〜貯金〜不足したため、一部は自己負担したもの〜

 〜葬儀費用に関して先に述べたところと併せ考えると〜貯金を解約〜一部を仏壇〜墓石の購入費用の一部に充てた行為〜明白に法定単純承認たる「相続財産の処分」(民法921条1号)に当たるとは断定できない

(2)相続放棄をすべき期間等〜

ア〜相続開始の原因〜事実及び〜相続人となった事実を知った時から3か月以内に〜放棄等をしなかったのが、相続財産が存在しないと信じたためであり、かつ〜信ずるについて相当の理由がある場合〜915条1項〜は、相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常〜認識しうべかりし時から起算するのが相当〜

イ〜貯金があることは相続開始後まもなく知ったが〜債務はないと信じていた〜
〜知ったのは〜通知書〜時であり〜やむを得ない〜というべき〜
 そして〜ほかに積極財産はなかった〜多額の債務があることを知っておれば〜すぐに〜放棄をしたはず〜明らか

 そうとすれば〜経過〜後に〜申述をしたのは、やむを得ないもの〜通知書に接した時から起算すべきものと解する余地がある
 したがって〜申述が明白に〜期間を経過〜後にされた不適法のものであるということもできない。

(3)相続放棄の申述の受理について

ア〜相続放棄の申述の受理は、家裁が後見的立場から行う公証的性質を有する準裁判行為〜〜受理したとしても、相続放棄が有効であることを確定するものではない。〜放棄等の効力は、後に訴訟において当事者の主張を尽くし証拠調べによって決せられるのが相当〜

 したがって、家裁が〜受理〜に当たって〜要件を厳格に審理し、要件を満たすもののみを受理し、要件を欠くと判断するものを却下するのは相当でない。もっとも、相続放棄の要件がないことが明らかな場合まで〜受理するのは、かえって紛争を招くことになって妥当でないが、明らかに要件を欠くとは認められない場合には、これを受理するのが相当〜

イ〜前記のとおり〜明らかに〜要件を欠く不適法のものと断定〜できないから〜受理〜相当〜。

 良く目にする重要判決でしたが、全文が入手できないでいたところ、かつて中山先生のブログで番号等を知って見ることができました。(感謝)
・半ば詐欺的とも言える念書。
・時効にかかってない?
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