Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:保証金(建設協力金)の承継

昭和47(オ)1289 引受債務請求
昭和51年03月04日 最一小判
裁判要旨抜き書き

 〜保証金が〜5年間〜すえ置き、6年目から利息を加えて10年間に返還する約定のいわゆる建設協力金であり、他に敷金も差し入れられているなど〜の事実関係のもとでは、右建物の所有権を譲り受けた新賃貸人は〜保証金返還債務を承継しない。

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(抽出・加工あり。原文参照)

1上告人は〜訴外D〜から〜本件貸室〜を〜保証金664万〜円の約定で賃借〜。

2〜特約〜、
 (イ)〜契約成立時から2年間〜やむを得ない事情がない限り解約〜できず、
 (ロ)2年経過後は正当な理由がある限り解約〜できるが、(イ)の場合〜敷金〜は、直ちに〜返還〜、保証金〜は〜次の入居者が決定し〜保証金が差し入れられるまで、6か月を限つて〜返還を留保できる〜。

3〜本件保証金〜約定は〜賃貸借契約書の中に記載されていたが、右保証金は、Dが〜建物建築のために他から借り入れた金員の返済にあてることを主な目的とする、いわゆる建設協力金であつて〜5年間はこれを据え置き、6年目から毎年日歩〜の利息を加えて〜返還〜とされている。

4被上告人は〜競落〜建物の所有権を取得〜  

最高裁

本件保証金は〜賃貸借契約書の中に記載されているとはいえ、いわゆる建設協力金として〜賃貸借とは別個に消費貸借の目的とされたもの〜
〜かつ〜返還〜約定に照らしても〜賃料債務その他賃貸借上の債務を担保〜目的で〜交付〜賃貸借の存続と特に密接な関係に立つ敷金とも〜本質を異にする〜
〜建物の所有権移転に伴つて〜承継するか否か〜は〜前記〜性格に徴すると、
未だ新所有者が当然に保証金返還債務を承継する慣習ないし慣習法があるとは認め難い状況のもとにおいて、
〜不測の損害を被る〜新所有者の利益保護の必要性と〜保証金を回収できなくなる〜賃借人の利益保護の必要性とを比較衡量しても、
〜特段の合意〜ない限り、当然には〜承継しないものと解するのが相当〜

研修:「借地借家法」(山内鉄夫先生)で引用されていましたので読んでみました。
研修:「借地借家法」・引用判例等